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BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

夜の寓話 :杉原理生

4813012299夜の寓話 (SHYノベルス)
杉原 理生
大洋図書 2011-01-29

by G-Tools

予想以上に粘度の高い話でした。
最後の最後でやられた感いっぱい…。
【夜の寓話/杉原理生/木下けい子/SHYノベルズ(2011年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!

【あらすじ・感想など】
洋画家の父親が亡くなった後、父を追うように自殺した姉・藍の夫である義兄の楡崎圭吾と共に、早坂蒼はいくつかの画廊を経営していたが、圭吾とはそれ以上の関係があった。
家と自分の身体を自由にさせる代わりに、圭吾を家に縛り付けていた蒼。
幼い頃から惹かれ続けていた圭吾を繋ぎ止めるため必死な蒼だが、ある日ふたりの前に富田という男が現れたことで、圭吾の様子が変わりはじめ…。

圭吾は蒼の叔父・尚弘の友人で、蒼が幼い頃から早坂家に出入りしています。
10歳の頃に大学生として現れた美しい青年に、蒼は興味津々。
でも周囲の大人たちも男女問わず圭吾の魅力に取り憑かれていて、病気がちで大人しい姉も圭吾に惹かれていたために、そんな気持ちを口に出来ないまま。
圭吾はそんな蒼に対して、尚弘との関係を露悪的に見せつけます。
普段冷めた態度の圭吾だけれど、蒼に対しては意識的にちょっかいをかける。
蒼はそんな圭吾に反発しながらも心の中では惹かれる気持ちを持ち続けていて、父と姉の亡くなった後、早坂家とは血縁関係がなく、親族からも疎まれていたため家から離れようとしていた圭吾を必死に引き留めます。
そうして身体の関係を持つようになったけれど、心は通じ合わないまま。
自分と距離を置き、深入りしようとしない圭吾に寂しさを感じながらも、その危うい均衡を崩さないために多くを求めないようにしていた。
そんな中、父と懇意にしていた美術評論家の息子・富田がふたりの前に現れた事で状況は大きく動き始める。
圭吾の過去を探ろうとする富田の追求を、圭吾は飄々とかわしながらも、その裏で蒼から離れるために動き始めていて…。
という展開で、合間に蒼と圭吾の過去や、富田の視点が挟まれています。
圭吾は何事にも無関心そうな雰囲気が人を惹きつけるタイプで、実際、手を出しても相手に本気にはなりません。
そんな圭吾を知っている蒼は、いつ消えてもおかしくない圭吾を引き留めるために必死になっている。
周囲からは、ダメな男に捕まって健気に頑張っているように見られているし、蒼自身も同じように思っているけれど、相手に囚われているのは圭吾も同じです。
圭吾は、蒼に惹かれているけれど本気にならないよう自分にブレーキをかけている。
それは蒼を特別に想っているからなのですが、蒼は圭吾に大切に想われていることで自分を欲望の対象に見てくれないのなら、そんな特別ではなく、他の人と同じように気紛れに抱かれるような対象でありたいと思っています。
このふたり、互いに惹かれ合っているのに、気持ちが交わった時点でスタートを間違ってしまっているんですよね…。
それ以前の出来事が影響しているんでしょうけど。
蒼の場合は姉に対する後ろめたさがあって、圭吾も爛れた環境の中にいても穢れない蒼を特別に想っているから、真っ直ぐに向き合えない。
それは分かるけれど、スタートを間違ってしまったことで、互いに大切に思っているのに、好きなのに好きと言えない状況にいるふたりがもどかしいです。
抱えているものが大きすぎて、正しいスタート地点には立てないことも分かるから余計に辛い。
突然の甘い生活が、その後に続く別れの予感を孕んでいて胸が痛みました。

以下、核心部分の展開を匂わせているので、未読の方はご自身の判断でどうぞ。

富田の登場で、その歪みの元が浮かび上がってきます。
予想以上にドロドロでした…。
この話の人間関係は元々複雑でしたが、それ以上のインパクトですね。
まさかあの人が…!とかなり吃驚してしまいました。
当事者がすでにいない状況で過去の事が明らかになるし、内容が内容なので、何とも言えないモヤモヤとした気持ちが残ります。
そんな中で出会った、穢れを知らない、澱んだ大人たちの中でも輝いた存在だった蒼に目を奪われ、手を出せなかった圭吾の気持ちがよく分かる。
でもまぁ、ここまで圭吾に執着してきた蒼の中にも、綺麗な面だけではない、人並み以上にドロドロとした部分があるのは間違いないです。
ふたりの関係のストッパーとなっていた圭吾の抱えていた秘密がなくなっても、それは忘れられる類のものではないので、きっとこれからも粘度の高い感情を抱えて生きていくのでしょうね。
執着していたのは蒼だけじゃなく、圭吾も同じ。
少しは健康的な雰囲気になるのか、それともさらに閉鎖的な世界に入っていくのか、その後のふたりが気になりますよ…。
最後に何かあるなとは感じていたのでいろいろと想像をしていましたが、ふたりが兄弟だったとか親子だったとか、そんな発想しかなかったです。
それはそれで重いですね…あわゎゎ。

ということで、杉原先生の新刊です。
私はまだそんなに多く杉原先生の作品を読んでいるわけではないのですが、センシティブだけど全体的には優しい雰囲気の話を書く作家さんという印象があったので、今回はちょっと吃驚でした。
複雑でドロドロとした血縁関係や、危うい均衡を保っているふたりの関係に序盤からシリアスな展開を予感していましたが、まさかの着地点に最後の最後でやられた感いっぱい…。
まぁ、ふたりが幸せならいい…のかな。
圭吾も蒼も、タイプは違えどどこか影のあるキャラでした。
ふたりの色気に富田も私も心奪われてしまいましたよ!
濡れ場も美味しい。
ただ、JUNE的な閉塞感が私は好きなのでこの展開は嫌いじゃありませんが、苦手な方もいるのではないかなぁと思います。
予想以上に中身は濃いので、心してどうぞ!
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2011.02.12 01:58 | 杉原理生 | trackback(0) | comment(0)
            












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