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おとぎ話のゆくえ :一穂ミチ

4344820061おとぎ話のゆくえ (幻冬舎ルチル文庫 い 4-3)
一穂 ミチ
幻冬舎コミックス 2010-07-15

by G-Tools

一穂先生らしい雰囲気の話でした。
攻は好きになれないけれど、受の子みたいなタイプは好み!
【おとぎ話のゆくえ/一穂ミチ/竹美家らら/ルチル文庫(2010年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!

【あらすじ・感想など】
友人である慎の帰郷に付いて、ある地方都市で暮らし始めた来生隼人。
東京にいたときと同様に、働くこともなく軽い態度で他人と接する隼人は、田舎の町では異質な存在だった。
そんな隼人に、今でも町の人に慕われ崇められている殿様の家の息子・野依湊が何故か懐き、愛犬の散歩というアルバイトを持ちかけてきた。
まっすぐで人を疑うことを知らない湊に、苛立ちながらも何故か突き放せずにいた隼人だが…。
生まれたときから、野依家の息子として周囲の人間から特別な扱いを受けていた湊。
田舎の町に残るその風習は町にいれば当たり前の事で、そうあるべき立場とそれにふさわしい言動が湊に求められる。
そんな風に育ってきた湊は、本当にいい子です。
人に悪い感情を持つ事もなく、高校3年生になってもまっすぐ素直で明るい。
ただ、自分の境遇を嘆くわけではないけれど、遠慮がちな周囲の人達の中で、親しい友人はなかなか出来ません。
気兼ねなく話せるのは、姉・桜と従兄弟の喬雄、そしてその同級生の慎くらい。
その日常の中に突然現れた隼人の態度は、湊にとってとても新鮮だったのは想像に難くなく、周囲の心配を他所にどんどん湊は隼人に懐いていきます。
一方の隼人にとっても、湊のような純粋な存在は初めてで、そっけなくしても近づいてくる湊に最初は苛立ったり戸惑ったり。
今までマイペースに生きてきた隼人が、いつの間にか湊によって変わっていきます。
互いに静かに惹かれあっていたふたりですが、小さな町の中では、特別な存在の湊と、異質な存在である隼人の関係は上手く行くはずもなく…。
対称的なキャラ設定のふたりが惹かれ合う流れは理解できますが、どうやってハッピーエンドを迎えるのか不安になりながら読みました。
湊は歴史ある家の長男なのに、ホモに走っていいのかしら。
どう考えても普通以上に家族との関係がゴタゴタしそうなんだけど、そこをどうやって収めるのかしら?と、そんな所が気になって仕方なかったです。
結果的には…解決はしてないけど光は見えてるという感じでしょうか。
問題は、男同士という所以上に、隼人の人となりでしょう。
私、終盤まで全然隼人の魅力が分かりませんでした。
とにかく、お前働けよ!と言いたくてしょうがない。
その背景に同情すべき所があったとしても、最低限の礼儀とか、社会的義務とか、そういったところを軽視している人はどうかなと思うのですよ。
隼人みたいに、露悪的に振る舞っているのに、無意識のうちに空気を読むのが上手くて、何故か人に好かれる人っていますよね。
それを羨ましいと思う反面、近くにいると苛立ちます。
町の人達も、桜や喬雄も、同じように感じている。
でも、湊はそういった表面的な所ではなく、そこよりもっと奥にある隼人の心をちゃんと見ているから、隼人に惹かれていったのでしょう。
理屈じゃない、その感覚がすごいなぁと思います。
そして、それを文字で表現する一穂先生も流石だなと思いました。
そんなわけで、なかなか最初はリズムに乗れませんでしたが、後半になってようやく私にも隼人の不器用な信念が受け入れられるようになり、そこからは一気に面白くなって泣かされましたよ!

隼人はいい加減そうに見えて、その行動の裏には隼人なりの考えがあります。
他人にも自分にも無関心なのは、考えたらマイナスの方向にしか心が動かない事を分かっているから。
恵まれない家庭環境で育ち、気付いたときには社会の底辺に近いところにいて、明るい未来なんてなかった。
そんな自分を嘆いたり、社会を憎んだり、そういった感情を持たないための無関心なんですよね?
露悪的に振る舞うのは、自分の心に他人を入れないためで。
そうやっている内に今の隼人の性格が形成されたのかと思うと、「だらしがない」と一蹴出来なくなります。
まぁ、そうは言っても身近にいたらやっぱり苛つくと思いますが…。
それに対して湊は吃驚するくらい純真で、それはそれで大丈夫かと心配になりましたが、湊は甘やかされて育ったお坊ちゃんじゃないから好感度大でした。
自分の責任とか立場を分かっているし、それを自分の感情だけじゃなく、周囲をちゃんと見た上で動いてる。
嫌みじゃなく、優しさが伝わってくる言動がいいなぁと思います。
湊は、そのしっかりした部分と、年相応の恋愛に対する感情の高ぶりのギャップが魅力ですね!
湊が泣く場面は胸が痛くて泣かされて、湊のテンションが上がる場面では私もワクワクさせられました。

濡れ場は少ないです。
でも、湊が可愛くてクラクラしちゃいました。
反応が素直で可愛いんだよ!
竹美家先生の画が可愛いので、余計に手を出しちゃいけない子に手を出してるような感覚もあるんですよね。
正直なところ、個人的にこの挿絵だと18歳にしては幼いように思えるので微妙に違和感があるのですが、話の雰囲気には合っていると思います。

ということで、一穂先生の新刊は一穂先生らしさを感じる話でした。
相変わらず言葉のセンスと繊細な空気を作るのが上手いなぁと思います。
最初は設定に戸惑いましたが、話の軸となっているふたりの育った環境や性格などを知っていく内にしっくりきました。
この話を面白く読めるかは、隼人を受け入れられるかどうかが大きいと思います。
私自身は、好きじゃないけど話が面白かったから許せるというところかな。
実際いたら怒りたくなるけれど、湊が好きだったらしょうがないよね…みたいな。
働き始めたからよしとしますかー。
まぁ、隼人は湊の尻に敷かれたらいいと思います(笑)
全体的に一穂先生らしい作品だと思うので、これまでの作品が好きな方にはオススメです♪
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2010.07.22 08:48 | 一穂ミチ | trackback(0) | comment(2)
            

こんばんは。この作品、私にとってはちょっと微妙でした。

「実際いたら怒りたくなるけれど、湊が好きだったらしょうがないよね…」
正に仰るとおり!
私も隼人の様な露悪的キャラはあまり好きではなかったもので、「お前働けよ」のお言葉に激しく同意です。
最後に観念してくれてようやく心穏やかに読み終えることができました。

文章や挿絵の雰囲気はこれまでの一穂作品と共通の味わいでしたが、通りすがりにしろヤクザが出てきたのには一番驚きました(^^ゞ。

2010.08.07 03:01 URL | コモ #- [ 編集 ]

コモさん、こんにちは~

話自体は泣かされる場面もあるし、一穂先生の雰囲気とも合っていていいなぁと思うのですが、隼人が受け入れられるかどうかが問題ですよね~。
例えいい人でもヒモはいかんだろ!と突っ込みたくなります。
よかった、憤っていたのは私だけじゃなかったww

レス遅くなってすみません!
またぜひお越しくださいませ~。ではでは(*^_^*)

2010.08.09 13:52 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]













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