にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

音無き世界 :杉原理生

4813012108音無き世界 (SHYノベルス)
杉原 理生
大洋図書 2010-01-28

by G-Tools

杉原先生初読みでしたが、とても面白かったです。
涙と萌えで胸がいっぱい。
【音無き世界/杉原理生/宝井理人/SHYノベルズ(2010年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!

【あらすじ・感想など】
フリーの映画ライターである水原英之は、ある日、知り合いが企画に携わっているコンテストの応募作品に目を奪われた。
それは、子供の頃に見た父とその仲間たちが撮った8ミリフィルムと同じ構図。
作品を撮った人物に興味を持ち、会ってみると、それは以前英之の家に預けられていた事のある笹塚遼という大学生で…。

音楽に合わせて踊る我が子を見ている父親。
父子の日常の一コマを切り取ったような微笑ましい構図の8ミリフィルムは、英之の心に静かだが鮮烈な印象を残していた。
そのフィルムと同じ構図で撮られていた作品。
だが、そこには視線の先の子供はいない。
作品の監督に会ってみると、その大学生はフィルムの中で踊っていた子供であり、英之が高校生の頃1ヶ月だけ一緒に生活した遼だった。
その頃、口もきかず、家庭に問題を抱えていた遼。
12年後、再会した遼に惹かれていった英之は想いを告げるのだが、遼は「誰も好きにならない」と言い…。
英之が高校生、遼が小学生の時に一緒に過ごした1ヶ月は、ふたりにとって大切な思い出になっています。
父との関係に問題を抱え、頑なに周囲を拒んでいた遼が、英之にだけは心を開いた。
でもその後遼は別居していた母親に引き取られ、英之が遼のその後を知ることはできなかった。
12年後、その遼が英之の前に現れます。
普通の大学生になっているように見えた遼ですが、子供の頃の経験は遼の心に傷を残し、遼は人を愛せずにいる。
それは人との関わりによって傷つくことを恐れているからであり、父親と似ている自分が、同じように心の弱さに崩れていく事を恐れているから。
だから、他人と距離を取り、自分の心を見ないようにしています。
英之との出会いで、遼は英之に惹かれていく自分の心と向き合わざるを得なくなり、そして、それは父親や過去と向き合う事に繋がっていく。
前半が英之視点、後半が遼視点になっています。
ふたりの気持ち自体は、かなり早い段階でお互いに向いている事が分かるのですが、そこから遼の越えなくてはいけないハードルが何なのか、どう乗り越えていくのかといった所が軸になっていて、読み応えがありました。
英之から見ても、端から見ても、遼が英之のことを好きなのは間違いないのに、身体の関係もあるのに、遼自身は自分の気持ちを見ようとしない。
焦れったいです。
でも、遼が過去を受け入れるためには、遼自身が動き、苦しみを乗り越えなくてはいけなくて、英之は見守るしかない。
英之は、時には方向性を示してあげたりはするけれど、基本的にはいつでも遼を受けとめられるよう待っているんですよね。
時々不安定になる遼と、それを優しく見守る英之。
12年前、1ヶ月という短い時間の中でふたりの心は触れ合って、それによって今の関係があります。
理屈ではない信頼関係がいい。
愛することが出来ないと言う遼は、誰よりも愛情を欲しがってる。
心の奥では本当は遼自身前に進みたかったんですよね?
だから映像を撮っていたし、英之の手をふりほどけなかった。
それを理解し、側で支え、真正面から愛を与える、そんな英之という存在があることで、遼はようやく自分なりの答を出して前に進むことができます。
胸の痛みや切なさ、そして最後には嬉しさと安心で涙があふれました。

そんな心理描写に、フィルムの世界がとてもマッチしていてよかったです。
実際には文字を追っているので映像を見ているわけではないのですが、その映像が頭の中に広がってくる。
英之と遼だけじゃなく、英之の父、遼の父の想いがフィルムと交錯していて説得力がありました。
英之も遼も映像に心奪われていますが、何気ない情景や表情に心を動かされた経験は、きっと誰でもありますよね?
映像だけじゃなく、本や音楽などなど、人の心を動かす力を持っているという事はすごいなぁと思います。

あ、エロもちゃんとありますよ!萌えました!
このふたりは気持ちが通じ合う前から日常的にエッチしてるので、回数は多いです。
草食系な見た目の英之が、意外と情熱的な所がいいですね~。
やっぱ男はエロくないとつまらない(笑)
そして、エロ描写はそこまで濃くないのに萌えた理由は、遼のキャラです!
興奮を抑えようとしている姿とか、恥ずかしがっている姿とか、普段体温の低い遼の心の動きが垣間見えてドキドキさせられました。
エッチ場面だけじゃなく、遼のキャラクターがすごく好きです。
感情が高まって自分をコントロールできなくなる所に萌え。

杉原先生初読みでした。
レーベルと表紙買いだったのですが、期待以上にとても面白かった!
そして、泣きツボがいっぱい潜んでいて、家族モノに弱い私は途中から涙腺が崩壊してしまいましたよ…。
体温低そうなキャラが発作的に感情を乱したり、そんなキャラのエッチの最中の姿とか、私のマニアックな萌えツボも押さえていて美味しかったですw
最後の最後まで、私の心を捕らえて離しませんでした。
大満足♪
他の作品にも興味がわいてきました~。
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2010.02.15 00:34 | 杉原理生 | trackback(0) | comment(2)
            

初めまして。BL初心者の私は何時もにゃんこ様のブログ参考にさせて頂いています。
宝井さんの表紙絵で気になっていましたので、このレビューを読んで即買いしました。
面白かったです。父親との関係に傷付いた遼を温かく見守る英之がとても良かったです。
そうですね、確かに彼は自分の中でこうだと決めると実行は早いかもしれない(笑

1度目読んだ時は今一つ遼の英之に対する気持が兄を思うような物か恋なのかどうかが分からなかったのですが、2度3度読むうちに再会した時、自分の方からリアクションを起こした時点でもう恋だったのだろうと思いました。

ベッドの中でも遼はにゃんこさんおっしゃる様にとても色っぽかったですが、英之が眉を顰める遼に指で突いて「また顰めっ面」という所、「英之さんは激しいんですか?」「…俺は普通だと思うけど」とベッドに倒れこんで笑う箇所が大好きでした。

2010.03.22 22:02 URL | ハイイロネコ #2d5Ut8gM [ 編集 ]

ハイイロネコさん、こんにちは!

私も気になりつつ読んだことのない作家さんだったので、なかなか手に取らないままでした。
なので、同じように思っている人に「面白かった!」と伝わったらいいなぁと思いながら感想を書いていたので、参考にしていただきとても嬉しいです!

杉原先生は初読みなので他の作品は分からないのですが、この作品は読めば読むほど味が出る文章がいいですね!
ベッドシーンもそうですが、セリフがとても好きです。
短い中に感情が溢れてる。
ハイイロネコさんの大好きなシーン、私もいいなぁと思います!

コメントありがとうございました(*´ェ`*)
レスが遅くなってしまい申し訳ありません。
また是非お越しくださいませ~♪ではでは。

2010.03.25 00:59 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]













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