にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

しじまの夜に浮かぶ月 :崎谷はるひ

4044468206しじまの夜に浮かぶ月 (角川ルビー文庫)
崎谷 はるひ
角川書店 2007-03

by G-Tools

甘ったるそうな予感がしていた外人モノ。
でもふたり合わさると良い塩梅になってました。
【しじまの夜に浮かぶ月/崎谷はるひ/おおや和美/ルビー文庫(2007年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!
ブルーサウンドシリーズの5作目。

【あらすじ・感想など】
藤沢で在宅のシステムエンジニアをしている朝倉薙。
他人と関わることを避けている薙だが、唯一の友人であり、大学時代から密かに想い続けている山下の頼みを断れず、半年間東京で仕事をすることになる。
だがその直後、山下に恋人を紹介されてしまう。
気持ちが沈んだまま東京に引っ越した薙は、隣人となったケネス・クロフォードに出会うのだが…。

普段は無口で臆病なのに、一度口を開くと棘のある言葉しか出てこない。
コミニュケーションが苦手で、性癖に対して負い目もある薙は、積極的に他人と関わろうとしない。
山下は、そんな薙にも優しく接してくれる唯一の友人。
薙は大学生の頃から山下に片思いをしているが、ゲイではない山下に、自分がゲイである事も、その想いも告げないまま友人関係を続けていた。
ところが、山下に紹介された恋人は男の一葡。
傷心のまま仕事先の寮であるマンションに引っ越した薙は、そこで隣人のケネスに出会う。
金髪碧眼の、まるで王子のような容姿に圧倒されながら、堪能な日本語で接してくるケネスのペースに巻き込まれていく薙。
半端無い忙しさの仕事と落ち着かないプライベートに疲れている薙に、ケネスは何かと世話を焼いてくる。
そして、薙はケネスに想いを告げられるのだが…。
という、失恋から新しい恋に目覚める話です。
でもそこに至るまではかなり険しい道のりでした。
薙はとても難しい男で、一筋縄ではいきません。
いつもは煩わしく思う他人と関わりなのに、ケネス相手にはそれを感じない。
だったらもうケネスに堕ちたらいいじゃない!と思う所なのですが、薙はかなりネガティブ思考で、臆病で、そしてとても不器用。
口の悪さが災いしてトラブルを起こしているけれど、それは薙が臆病だから、自分を守るための攻撃なんですよね。
本人は全くコントロールできていません。
苛立ち紛れに男を漁り、付き合う男はダメな男ばかりで…と、悪い流れから抜け出せないまま、疲れてしまったな薙は他人との関わりを絶っている。
状況的に仕方がない面はあるにしても、薙はかなり自虐的な性格です。
こんな自分だから仕方ないと思っている。
幸せになりたい気持ちと、こんな自分は幸せになれるわけないという相反する気持ちが薙にはあって、ケネスの想いを知っても素直になれません。
それに加えて、山下への気持ちが整理できないままで、さらに自分の醜い過去を知る大智とも顔を合わせた事で、益々不安定になっていく。
そんな時、ケネスがアメリカに帰ってしまう事を知って、ぐちゃぐちゃになった気持ちが一番駄目な形で爆発してしまいます。
何も知らずにこの場面に居合わせたら、なんて酷い奴だ!と思うでしょうね。
でも、そこに至る事情を知っていると、心の揺れを攻撃という形でしか出せなかった薙が可哀想で仕方ない。
酷い言葉を吐きながら、自分も傷ついている。
そして、薙も読んでいる私も、そこに至ってようやく薙の心に刺さっていた本当の棘の正体を知ることになるのですが…。
ケネスのように、薙の性格を理解し、行動を追っていれば、それは一目瞭然だったのかもしれません。
でも私は予想していなかったので、吃驚しちゃいましたよ。
その驚きと、それに対する薙の激しい拒絶が相まって、この場面は印象的でした。
いろいろなものを失って、今まで逃げていた自分の本当の気持ちに向き合い、ようやく大切なものに気付いた薙。
自虐することで逃げていた薙が、自分が何に傷ついていて、本当は何を求めていたのか、それを知った事で新しい一歩を踏み出すことが出来ます。
その過程はすごく不器用で、自分も周囲も傷つけているのだけれど、そんなことでもないと薙は自分の狡さに気付けなかったんでしょうね。
でも、そんな薙をちゃんと見守っていてくれる人がいる。
それは恋人とは別の意味で、かけがえのない大切なもの。
薙が気付いてくれてホッとしました。

今回、他のカップルも重要な役割を果たしています。
山下と一葡はもちろん、大智と瀬里、そして嘉悦と藤木。
幸せそうな彼らに薙は最初嫉妬していますが、この騒動を通して、彼らもまたきれい事だけでなく修羅場を経験して今がある事、そして幸せになる努力をしている事にようやく気付きます。
恋愛って、綺麗な面ばかりじゃないですよね。
自分のみっともないところをさらけ出して、相手のそんなところも受け入れて、他人から見たら滑稽なことが本人たちには大切なことだったりする。
ケネスと気持ちが通じるまでに薙は失敗も沢山しているけれど、その経験を恥じる必要は全くないんです。
逆に、それによって得たものは大きい。
人それぞれに恋愛の形は違うのだから、失敗しても、遠回りしても、納得いくまで相手とぶつかり合うことが大切なんじゃないかな。
薙がケネスと付き合っていく中で、経験が自信に繋がっていけばいいなぁと思いました。

エロはいつも通りエロいです!
…って、私崎谷作品の感想で毎度のように書いていますね(笑)
えー、ケネスが外人さんらしく立派なものをお持ちで、薙を思う存分翻弄してくれてます!
そして、それがどのくらい現実的にあるのかは疑問ですが、私、ドライでいっちゃう場面は問答無用で萌えてしまうw
経験豊富な薙が翻弄されている姿がいい!
…それにしても、ケネスはベッドの中でもちゃんと日本語なんですね。
単語が時々英語になるくらいならいいんですが、喘ぎ声で「Ah~」とか「Oh!」とか連発してたら萎えてしまうかも…と、ふと考えてしまいました(笑)
そんなケネスは嫌だ!

ということで、ブルーサウンドシリーズの5作目。
舞台の違いから、これまでの4作が湘南編、今作は西麻布編になってます。
これが崎谷先生初の外人攻だったらしいのですが、ケネスは日本語ぺらぺらで日本贔屓なので、外人らしい濃さは控えめ。
文化的な衝突は殆どなかったです。
でもやっぱり、外人らしい大胆さは持ち合わせてる。
人と関わることに臆病になっていた薙にとっては、ケネスが外国人という別枠の存在だった事がいつものような警戒態勢を取るのを忘れさせていて、それがよい方向に働いたんでしょうね。
薙という難しいキャラクターの相手と考えると、ケネスが外国人であったことはとても納得がいきます。
日本語ぺらぺらで、自分を好きだと言ってくれて、みっともないところを見せてもちゃんと受けとめてくれる金髪碧眼の王子様…完璧すぎる!
こんな人に想われてるなんて、薙、羨ましいなぁ(笑)

このシリーズは毎回話もエッチもしっかりしているので安心して読めますね~。
外人ものですが、外人特有の甘ったるさは控えめです。
ひねた薙とケネスが合わさるとちょうどいいバランス。
薙はこれからケネスにいっぱい糖分を与えて貰って、健康な心に戻ったらいいんじゃないかと思います!

あーようやくこれで短編集に突入できます。
私は嘉悦×藤木が好きなので、久しぶりに会えると思うと楽しみ♪

■ブルーサウンドシリーズ
「目を閉じればいつかの海」 嘉悦×藤木
「手を伸ばせばはるかな海」 大智×瀬里
「耳をすませばかすかな海」 和輝×笙惟
「振り返ればかなたの海」 山下×一葡
「しじまの夜に浮かぶ月」 ケネス×薙

「ただ青くひかる音」 番外短編集1
「波光より、はるか」 番外短編集2
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2009.11.18 01:39 | 崎谷はるひ | trackback(0) | comment(0)
            












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