にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

4048675877セントエルモスファイア (B‐PRINCE文庫)
花郎 藤子
アスキーメディアワークス 2009-03-07

by G-Tools

1998年に出版された作品の新装版。
面白かった…!! 文章に力がありますね。
【セントエルモスファイア/花郎藤子/円陣闇丸/B-PRINCE文庫(2009年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!

【あらすじ・感想など】
複雑な家庭環境で育ち、15年前に父母が入水心中して以降、厳格な祖母と母親の違う妹・深生子と3人で暮らしている河村和彦。
栄華を誇っていた過去にしがみつく祖母は、絶対の存在。
その祖母に育てられた和彦は家から離れられないまま、深生子に対する許されない想いを秘め、静かに生きていた。
そして大学時代からの親友・不動健とは、曖昧な関係のまま続いている。
しかし、不安定ながらも静かだった日々は、ある日突然終わりを告げ…。

河村は物静かな男です。
それは、いろんな事に対して無気力で無関心だから。
自らの出生、父母の死、虚勢だらけの家。
子供の頃からそんな環境で育った河村は、将来に夢を見ることもなく、現状に反発するでもなく、静かに受け流すことで自分を保っている。
ただひとつの希望は、許されない思いを抱いている妹の深生子の存在。
でも、深生子の片思いの相手は親友の不動で、その不動と河村はいつの頃からかじゃれ合いのように性欲を処理し合う仲に。
一方で、家の内情は破綻をその場しのぎで先延ばししているような状況にある。
その、不安定ながらも静かに過ぎていた日常は、ある日突然崩壊します。
不動と秘密を共有することになった河村。
そして、ふたりの関係は一線を越えてしまうのですが…。
この家が置かれている状況や、事件の内容はとてもドロドロしているのに、話全体の雰囲気はとても静かですね。
その生々しい現実と、非現実的な雰囲気のギャップが印象的です。
終わりは見えているのに、絶妙なバランスで成り立っている家。
それが、ひとつの綻びからどんどんバランスを崩してゆき、追い詰められてしまう。
壊れるのは一瞬なんですよね。
結局、皆家に囚われていて、大切なものを見失っている。
それを失ってみて初めて、その大きさに気付く。
言葉にしてしまうと簡単な事だけど、当事者が自分の置かれている状況に気付くのは難しかったりします。
恋愛だけじゃなく、家族愛とか、共同体としての結びつきみたいなものが話に上手く絡んでいて、読み応えがありました。

河村と不動の恋愛について言うと、不動の忍耐強さと執着の強さに尽きますね。
大学時代から一体どれだけ耐えてきたのか…!
報われたと思ったら、河村の無自覚な暴言に傷つけられて。
河村は不動に対して特別な想いを持っているのに、当たり前のようにそこにあったせいで自覚できてません。
不動に甘え、依存していることに気付いてない。
ずっと見守ってきて、ようやく身体は手に入れたのに、河村の心はここにあらず。
そりゃ絶望もしますよ。
とにかくもう、軽そうな男が秘めたその強い想いに感服です。
傲慢そうでいて、実は誠実なこの不動のようなキャラっていいですね。
このふたりの絡みは、静かに熱くて萌えました。
河村の身体は、心とは違って正直。…罪作りな男だわ。

この作品、脇のキャラも濃い!
特に深生子。
私、途中まではいい子だけど世間知らずなお嬢さんかと侮ってましたが、思いがけず強い女性で吃驚です。
某清澗寺家の女の子同様、その場を明るくするムードメーカーでありながら、アクの強い血筋を引いてるだけあって芯が強いなぁ。
あと、鳴嶋兄弟が怖かった…。(特に兄)
河村の感じている恐怖がすごく伝わってきて、読んでいるこちらもドキドキさせられましたよ…! 

ということで、なんだか上手くこの感動を言葉に出来なくてもどかしいんですが、話の内容も雰囲気もすごく好みです。
倫理的な問題もあって、手放しで祝福できるようなハッピーエンドではないと思いますが、この先、痛みを共有して生きていくこの家族が幸せになって欲しいと思う。
もう10年以上も前の作品ですが、話自体は全然古さを感じませんね。
(円陣さんの挿絵は確かに時間の流れを感じます…上手いけど)
あえて言うなら、このシリアスさかな。
最近はあまりドッシリと重みのあるシリアス作品に出会わないのですが、私はこういった話の方が断然好きです。
文章に力があって、説得力がある。
こういう作品をどんどん復刊して欲しいです。
今回初めて花郎先生の作品を読んだのですが、他の作品も気になってきました。
ずっと気になっている「黒羽と鵙目」を読もうかなぁ。

--
余談ですが、このタイトル…。
思わず昔の映画を思い出しました。
青春群像劇で、この作品とは全然雰囲気違いますが。
ロブ・ロウが好きだった頃見たなぁ。懐かしすぎる!
(自分のために補足すると、リアルタイムで見たわけじゃありませんよ…)
2009.03.16 00:48 | 花郎藤子 | trackback(1) | comment(2)
            

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2009.03.16 23:23  | # [ 編集 ]

Nさん、こんばんは!

紹介していただいたサイトさんは、私も実は以前から参考にさせていただいています♪
凄く的確にまとめられていて、その文章に惚れ惚れします。
今回コメントを頂き、改めて花郎先生の書評の部分を読んで、益々いろいろと読みたくなりました。
レザフルーが気になる!
近いうちに探しに行こうと思います~。

コメント&ご紹介ありがとうございました(^^)
それではまた!

2009.03.17 22:36 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]













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