にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

刺青の男 :阿仁谷ユイジ

4863490275刺青の男 (EDGE COMIX)
阿仁谷 ユイジ
茜新社 2008-09-26

by G-Tools

思いがけない着地点に衝撃を受けました。
読む人を選ぶと思うけれど、私は好きです。
【刺青の男/阿仁谷ユイジ/エッジコミックス(2008年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!

【あらすじ・感想など】
まずはさらっと各話のあらすじと感想を。

『僕のカタギ君』
幼馴染みの潟木と10数年ぶりに再会した久保田。
道を踏み外しヤクザとなっていた潟木と恋に堕ちた久保田だが、ある日潟木のスーツから拳銃を見つけてしまい…。

潟木はヤクザと言ってもまだ下っ端。
表ではいきがったちんぴら風情なんですが、久保田の前ではすっかりヘタレてます。
しかも受…。
そんな潟木を久保田は可愛がっているのですが、仕事はキッチリやる奴なのです。
ヤクザ受と乙女攻という味付けが美味しい。

『ラナンキュラスの犬』
先代の女組長の息子である有馬は、父親である、有馬の母親を犯してのし上がった現在の組長によって軟禁状態に置かれている。
有馬は自分の世話をしている武藤に、逃亡を持ちかけるのだが…。

武藤は有馬の母親を慕っていた男で、母親に生き写しである有馬にも惹かれている。
有馬も武藤に惹かれているけれど、互いに言葉にはしない。
でもついに、有馬はその一線を越え、ふたりで逃げ出すことを決意します。
若くて美しい有馬と恋に堕ちる武藤が、強そうだけどお世辞にも渋いと言い難い、地味で頭堅そうな昔気質のヤクザというのが吃驚です。BLの主役っぽくない。
この話は時系列的には『僕のカタギ君』の前。
武藤の子分が潟木で、話がリンクしています。

『狂い鮫とシンデレラ』
冷酷で周囲から恐れられている埜上組長の埜上。
ある日、取り立てをしている店にいた新人の挑発的な視線に目をとめ、埜上は暴力的に犯すのだが…。

埜上はやることに容赦がなくて、今までも沢山の人間を殺しているような男。
そんな埜上が犯した相手は、女かと思いきや男で、埜上は散々犯したあげく殺そうとします。
これ以上はネタバレなのでまた後で。
とにかく恐ろしいほどの執念とエロスに感服しました。
受のドMっぷりにゾクゾクした。
前出の2話とリンクしていて、時系列的には『僕のカタギ君』の後です。

『みんなの唄』
あー…。
これはもうあらすじさえネタバレなので、後でまとめて書きます。
前出3話とリンクしていて、まとめの話。
これはもう…泣くしかない。

『はるのこい』
『ゆめのあんない』

大学の友人・春野に片思いをしている安奈。
軽くて「好きになられたら好きになる」と言う春野に、苦しいほどに膨れあがった気持ちを伝えてしまおうかと悩むけれど、臆病な安奈は言い出せない。
そんなある日、安奈の枕元に春野の生き霊が現れて…。

生き霊とエッチしたら、本物の春野も何か気付いている様子。
それでも気持ちを伝える勇気を出せない安奈は、本物には何も言えず、生き霊との関係を続けてしまう。
春野はそれとなく気持ちを伝えてくるのに、臆病な安奈は向き合えず、逃げ出すことしかできません。
安奈、相当ヘタレだな…。
生き霊とのエッチがすごく独特で、エロティック。
最後の蝶が羽ばたいていくシーンはとても綺麗で大好きです。

--
全然知らない作家さんですが、「刺青」という単語に釣られて購入しました。
でも、家に帰ってパラッと中を見たら画がとても個性的だったし、途中何とも言えない怖いシーンを見てしまって、実はちょっと逃げ腰で読み始めました。
私、暴力とか流血とかは全然大丈夫なんですが、どうも包帯とかガーゼとかそういうものが苦手なんですよね…。生理的に。
阿仁谷先生の画は結構生々しいので、ダメな人は受け付けないかもしれません。
でも、話の作り込みが半端じゃなくすごい!
途中から苦手意識はどこかに吹き飛び、のめり込むように読んでいました。
草間先生と同じで、読めば読むほど味が出る。そんな作品です。
表情の描き込みが秀逸で、何も言わなくても気持ちが伝わってくる。
すべてを理解してから読み返すと、この時この人はこう思っていたからこんな表情をしていたのだな…と、切ない気持ちにさせられますよ。
やってる時の顔もすごいんです…!
とにかくエロティックで惹き込まれる。
もうね、いろんな意味で感服させられました。
漫画ってすごいな。

とりあえずザッと書いたんですが、本当に衝撃を受けた部分はネタバレしてしまうと面白さ半減だと思い、あえて書いてません。
未読の方はこの先読まない方がいいと思います。
是非、作品を読んでから改めておいでくださいませ。

--以下、ネタバレ--

『僕のカタギ君』~『みんなの唄』までは話がリンクしています。
久保田と潟木の話が、まさかこんな展開をするとは思いも寄りませんでした。
当のふたりも、自分たちの行為がそんな悲劇を引き起こしているなんて、予想もしていなかったんでしょうけど…。
潟木が迎えに行けなかった武藤は、愛する有馬と共に襲撃される。
襲撃した埜上に復讐したのは潟木を逮捕した久保田。
そして、久保田によって逮捕され服役することになった潟木は、久保田を愛していると同時に憎んでいて、出所後ある事によって復讐する。
憎しみが連鎖し、悲劇を生んでる。
でも、その切っ掛けは反社会的な行為であったりするわけで、本来久保田が責任を感じる必要は全くないわけですよ。潟木の逮捕に関しては。
ただ、久保田は潟木を愛してしまったから、潟木を逮捕する際にすべてを背負う覚悟を決めてて、命がけで埜上に復讐し、潟木の憎しみを受け入れてる。
久保田のセリフにもあるけど、人を傷つける時はそれ相応の覚悟をして臨むべきでしょ?
埜上はもちろんだけど、武藤は埜上に殺されるだけの事をしてるし、有馬だって、真相は分からないけど多分父親を殺してるわけで…。
だから本来は同情する必要なんてないのかもしれない。
でもね、そこに絡んだ愛憎劇を知ってしまうと切なくて堪らない…。
愛する男のために復讐を成し遂げ、自分の罪を受け入れようとする久保田の愛の深さに、最後のシーンは涙が止まりませんでした…。
まさかこんな結末を迎えようとは、最初の話を読んだ時点では予想だにしなかった。
読み進めて、徐々に背後関係が明らかになるにつれ、目が離せなくなりましたよ。
激しくも儚い男たちの愛憎劇に胸を打たれる。
耳鳴りの正体とか、潟木が望んだプレイの真相とか…挙げればきりがないけれど、細かい部分までしっかり練り込まれてます。
読み終わって、しばらく放心してしまいましたよ…。

阿仁谷先生、惚れました。
他の作品も読んでみようと思います!
関連記事
            

はじめまして!私も惚れてます!!
前作(2冊)読んでこの作品も購入したわけですが・・やられました。ギャップ有り過ぎ。「刺青の男」同感です。私・しばらく他のコミック読めなかったんです~(汗。

また楽しい記事期待してま~~す。

2008.10.05 17:19 URL | のりやん #- [ 編集 ]

のりやんさん、こんにちは!

惚れますよね~。
個性的な画に最初は不安でしたが、一気に惹き込まれました。
前作は全然知らないのですが、これとは印象が違うのですか? 
気になるので早速購入しようと思っています♪

コメントありがとうございました!
稚拙な感想ばかりでお恥ずかしいですが、お暇なときにでも是非またおいでくださいませ~。
ではでは!

2008.10.06 13:40 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]

にゃんこさん 

少し日が経ったレビュへのコメント失礼します。
すごく良かったと言うだけではまだまだ足りない作品ですよね。
あとになってわかったときの伏線の巧妙さには、ほんとに脱帽でした。
セリフのひとつひとつも奥深い、素晴らしい作家さんだと思います。

TBさせてくださいませv
よろしくお願いいたします。

2008.10.19 20:19 URL | イサヲ #- [ 編集 ]

イサヲさん、こんにちは!

途中から予想以上にのめり込んで読んでしまいました。
最後に話がひとつに収束し、まさかそうくるか!と私も脱帽しましたよ。
その気持ちが上手く言葉に出来なくてもどかしい…。

コメント&TBありがとうございました!
こちらからもお邪魔させていただきますね♪
それではまた~

2008.10.20 11:02 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]

はじめまして。ぽん と申します。
゛刺青の男゛、衝撃が足元まで来る、本当に凄く良い作品ですよね。
読後、私も暫くの間放心状態でした。
それにしても、にゃんこ さん。素晴らしい感想を掲載して下さって、本当にありがとうございます!
自分と同じように感じてくれた人がいてくれた!ってわかったら、嬉しくて、嬉しくて。
もう一度、いや、何度でも感動がこみ上げてきました。
本当にありがとうございます!

2011.12.16 14:19 URL | ぽん #- [ 編集 ]

ぽんさん、はじめまして&こんばんは
レスが遅くなってしまい申し訳ありませんっ(汗)

放心状態になりますよね!
読んでからもう3年ほど経ちますが(←確認して吃驚…)、その時の衝撃は今でも忘れません。
コメントをいただき、自分の感想を読み返してみたらすごく再読したくなったので、近いうちに引っ張り出してこようと思います~。ドキドキ。

コメントありがとうございました(^^)
好きな作品に、同じように面白いと感じてくれる人がいる事をこうして知る事が出来、私もとても嬉しく思い、
感想を書いていてよかったなぁと感じています!
こちらこそありがとうございました!
また是非おいでくださいませ~♪ ではでは。

2011.12.23 03:25 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]













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