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悲しみの涙はいらない :水原とほる

4861342600悲しみの涙はいらない (DARIA BUNKO)
水原 とほる
フロンティアワークス 2008-05-13

by G-Tools

おぉぉ水原先生、すごく面白かったですよ!
これがあるからやめられない。
【悲しみの涙は入らない/水原とほる/ヤマシタトモコ/ダリア文庫(2008年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!

【あらすじ・感想など】
母親の再婚により、安定した生活を得ることが出来た遙。
しかし義父の会社の経営が苦しくなっていたある日、母親が遙を残し、家を出て行ってしまった。
借金を抱え、酒に溺れた義父に性的暴行を受け、そして最後には、借金のカタとして国枝という男に引き渡された遙。
学校にも行かず、売春をさせられる日々。
だが、そんな生活にもまた変化が訪れ、遙は国枝と生活を共にすることになるのだが…。

幼いころから母親に振り回され、不安定な生活をしていた遙は、期待をせず、心を閉ざして自分を守っています。
売春させられても、国枝と暮らすことになっても、抵抗せず受け入れようとする。
そんな遙だけど、国枝に対しては何か違うものを感じ、「普通の人が普通に送っている日常を経験したい」という儚い夢をつい語ってしまいます。
国枝は遙を気まぐれのように自分のマンションに連れ帰り、高校に通わせますが、優しい態度をとるわけでもなく、気が向けば遙を抱く。
国枝のことが理解できなくて遙は戸惑いますが、それでも一緒に暮らしているうちに国枝の帰りを待ち望むようになり、今まで自分が寂しかったのだと気付かされます。
遙と国枝は対局の存在に見えますが、同じように孤独を抱えていて、根っこの部分は同じだから惹かれ合っている。
ただ、遙が年齢的に自立できないこともあって、自分を押し殺すことで生きているのに対し、国枝は攻撃的。
自分を守るため、弱さを見せないために、常に威嚇の姿勢をとっている。
そうやって、周囲にも自分にも無関心でいることで心は傷つかないかも知れないけど、それでは結局幸せにはなれませんよね。
二人とも甘え方を知らないのでなかなか気持ちが通じ合わないけれど、一緒にいることでいつのまにか支え合うようになり、相手を大切に想うようになります。
社会的には弱者だけど、遙は堕落することもなく、与えられた機会に出来る限りの努力をし、前を向いて生きていている。
「人生はときに惨く、ときに滑稽だったりするけれど、どんな役割であろうと生きているかぎり人はそれを大真面目にやり通すしかないのだ」
この言葉にドキッとしました。
悲観してるだけじゃ、何も変わらないですよね。
心を閉ざしていても、無気力じゃない遙が好きです。
そして、無関心なようでいて、ちゃんと遙の事を考えて手を回している、不器用な国枝に次第に私も惹かれちゃいましたよ。
いきがって悪ぶっているわけでもなく、押しつけがましく親切にするわけでもない。
クールなように見えて、実は控えめないい人というのがいいですね。

タイトルにもあるように、今回「涙」が度々出て来ます。
「涙は余計に自分を惨めにするだけだ」と、遙はなかなか涙を見せません。
それは確かにそうかもしれない。
でも、泣くことで心が楽になることもありますよね。
悲しいとき、嬉しいとき、悔しいとき、切ないときに出る涙。
精神的なものじゃなくて、肉体的な苦痛から出る涙もある。
遙が国枝と生きていくことで、いろんな涙の味を知っていけたらいいなぁと思いました。

面白かった!
暗さと優しさのバランスがとても良かったです。
いつも通り暴力的な描写はあったけれど、遙と国枝の関係自体は至って普通。
ドロドロ執着しているわけでもない。
そういう意味ではいつもより痛みの少ないので、読みやすい作品だと思います。
ヤマシタ先生の挿絵は、最初見たときは正直微妙だったんですが、読むにつれて雰囲気にすごく合っているなぁと感じるようになりました。
そしてP189の挿絵にヤラレた!
最近、水原先生の作品が毎月のように出ていたけれど、心を掴まれる作品がなくてモヤモヤしていたんですよねー。
久々の大ヒットでテンションが上がりましたw
大満足。
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2008.05.18 01:15 | 水原とほる | trackback(0) | comment(0)
            












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