にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

4048670077ホテル・ラヴィアンローズ (B-PRINCE文庫 た 1-1)
高遠 琉加
アスキー・メディアワークス 2008-05

by G-Tools

思いがけずとても切ない話で泣かされました…。
面白かったー!
【ホテル・ラヴィアンローズ/高遠琉加/北上れん/B-PRINCE文庫(2008年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!

【あらすじ・感想など】
都内にあるホテル・ラヴィアンローズは、格式が高いわけでも、老舗の風格があるわけでもない小さなホテル。
特徴といえば、各部屋のインテリアにテーマカラーがあることくらい。
そんなホテルを舞台にした恋のお話。

『ホテル・ラヴィアンローズ -青-』
5年ぶりにホテル・ラヴィアンローズを訪れた久住。
そこはもう廃墟となっていて、幽霊スポットになっている。
久住はずっと抱えていた、高校時代の同級生・滝口への気持ちに決着をつけようとするのだが…。

久住と滝口にとって、ホテル・ラヴィアンローズは特別な思い出のある場所です。
高校時代、密かに滝口へに片思いをしていた久住。
でもその気持ちをある教師に気付かれてしまい、脅され、関係を強要されることに。
そして、滝口は学校では明るくて人気者である一方で、家では父親の暴力にさらされている。
抑圧された感情に引き寄せられるように二人は親しくなりますが、ある日、滝口は人を刺してしまい、二人の逃避行が始まります。

いつかは終わってしまうことは分かってる。
でもそれを口にした瞬間、滝口との幸せな時間は終わってしまう。
薄氷の上の幸せを少しでも長く感じていたいという願いも虚しく、二人に別れの時はやってきます。
その時になって知った真実。
気持ちは繋がったのに、二人の道は分かれてしまいます。
無力な自分たちへの憤りや諦め、儚い幸せに対する喜びや悲しみや切なさ。
いろんな感情が静かに詰まっていて、胸がいっぱいになりました。
人を刺して逃げるという派手な展開なのですが、そこに至るまでの過程に無理がないので、すんなり話に入っていけます。


『ホテル・ラヴィアンローズ -赤-』
毎週金曜日、幽霊が出ると噂になっている赤の部屋を指定して泊まる客・浅海。
フロント係の柏原はそんなちょっと変わった客が気になっていたが、ある日、赤の部屋で浅海が起こした自殺未遂騒動に遭遇する。
部屋に残されていたオルゴールを切っ掛けに、柏原は浅海の昔話を聞くことになるのだが…。

浅海は6年前、赤の部屋で心中事件を起こしています。
大学の講師との不倫の末に手首を切りますが、結局死ぬことは出来なくて、それを切っ掛けに別れた二人。
浅海はずっとその恋を引き摺っていて、その幽霊は先生の生き霊なんじゃないかと思い、赤の部屋に通い続けています。
一緒に死ぬと約束したのに、自分は手首を切れなかった。
先生は自分を恨んでいるんじゃないだろうか。
そんな想いに囚われている浅海は、情緒不安定になり酒に溺れていく。
柏原はそんな浅海が放っておけず、何かと世話を焼くようになり、いつの間にか浅海に惹かれていきます。
でも、浅海は一向に立ち直らず、柏原を避けるようになり…。
別れの言葉もないまま途切れた恋に、浅海は終止符を打てません。
でも、意地のように先生への贖罪を続ける浅海の心の裏にあるのは、柏原に惹かれている心なんですよね。
先生に対する負い目があって、新しい恋に踏み出すことに罪悪感を感じてしまう。
柏原の心の揺れが切ないです。


『薔薇色の人生』
戦争によって、たくさんのものを失ってしまった千尋。
父親は戦死し、母親が大好きだった家も失ってしまった。
絶望を感じながら生きていた千尋だが、健二と出会ったことで世界は変わった。
健二がいるから生きていける。
そう思っていたけれど、母親が亡くなり、千尋は親戚に引き取られることに。
「いつか、絶対にまた会おう」
その言葉を信じ苦しい日々を乗り越えた千尋は、10年後、ついに健二と再会するのだが…。

ホテル・ラヴィアンローズが出来るまでの話。
例え短い間でも、幸せな時間があったから今をがんばれる。
そんな風に思える時間があるというのは、とても幸せなことですね。
今よりずっと人の死が身近にあって、「失うこと」が特別な事じゃない時代だからこそ、それを大切に思えるのかもしれないなぁと思います。


--
このまま時間が止まったらいいのに。
そう思うことは誰にだってあるけれど、時間はいつも誰にでも平等に流れていて、同じ所に留まっていることはできません。
でも、だからこそ頑張れるって事もある。
今は辛くても、いつかは終わると信じられるから。
未来に希望を持てるから。
舞台となっているホテルの変遷を含め、そんな時間の流れに対する無常観が作品全体に漂っていて、とても切なく、でもそれによって励まされ、心地よい読後感でした。
レーベルや挿絵、タイトルから、気楽に楽しめるラブストーリーかなという印象を受けていたので、中身とのギャップにちょっと驚いてしまいましたが。
私は高遠先生を読むのはコレで3冊目とまだまだ初心者なのですが、これが一番好きです。
高遠先生は、少しJUNEっぽいニオイのする文章を書く方ですね。
抑えめだけど、熱が入ると生き生きとしてる。
「-赤-」に出てくる浅海みたい…って分かりにくい例えかな。
つまり…大好きって事です(笑)

どの話も大好き。
ツボに嵌り、涙腺が崩壊してしまいましたよ…!
読み応えもあって、大満足です。
関連記事
2008.05.10 00:15 | 高遠琉加 | trackback(2) | comment(4)
            

お久しぶりです。

ちょっとレトロな感じで良かったですよね。
特に、最後のお話が一番のお気に入りです。
今よりも生き難い時代で、でも今よりももっと一生懸命生きていた時代だと思います。

TB送らせて頂きました。
よろしくお願いします。

2008.05.10 21:38 URL | たま #52IR0TwY [ 編集 ]

こんばんは!にゃんこさん。
今まで読んだ高遠さんの中で一番と仰っていらっしゃったので、「あれ?」と思って過去の感想読ませて頂きましたが、高遠さんの作品の中でも比較的高遠さん指数(←何じゃ、そりゃw)の低い作品を読んでいらっしゃったのですねー。
にゃんこさんが、あまりこの方の作品を読んでいらっしゃらなかったのが意外でした。

この作品も、高遠さんの作品の中では割と救われている方かな?…た、多分。
シャレード文庫から出ている各シリーズの“番外編”や、シャイノベルスの『世界の果てで待っていて』は単純に“幸せ”を手に入れられない物語が多いので、もし機会があればコチラも是非是非!
シャイの方は、ドラマCDも泣けます!

ではでは。
TB頂きました~♪

2008.05.10 23:04 URL | tatsuki #1AqkR7Yg [ 編集 ]

たまさん、こんばんは!

私も3つめのお話好きです。
その当時のことは想像でしか分かりませんが、たまさんの仰るとおり、今よりずっと皆一生懸命生きていた時代ですよね。
だからこそ、二人の想いがリアルに感じられます。

コメント&TBありがとうございました!
それではまた~

2008.05.11 00:14 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]

tatsukiさん、こんばんは~

高遠さんを今まで余り読んでいなかったのですが、tatsukiさんがイチオシするだけあるな!と今更ながらに理解しました。
遅すぎですね…。
もっと早く気付くべきでした!

こ、これで「まだ救われてる方」なんですか!?
ちょっとドキドキしちゃいますが、シャイの方は前から気になっていたので、早速購入しようと思っています~。
ドラマCDも聴かなくては!

オススメ作品も教えていただき、ありがとうございます!
ではまた~

2008.05.11 00:20 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://macnyanko.blog22.fc2.com/tb.php/557-1114906b

ホテル・ラヴィアンローズ
本日は高遠琉加さんの「ホテル・ラヴィアンローズ」です。 《あらすじ》 瀟洒なプチホテル「ホテル・ラヴィアンローズ」を舞台に、様々な...

2008.05.10 21:32 | たまさんの読書日記

ホテル・ラヴィアンローズ
午前中に携帯電話の着信記録を確認して、お昼休憩中に息せき切って夢中で買いに走りました。 高遠琉加さんの新刊は、どうしても待ちきれませ...

2008.05.10 22:39 | la aqua vita

最近の記事

プロフィール

Author:にゃんこ
漫画も読むけれど、やっぱり小説が好き! 小説を中心にBL本の感想を書いています。

このBlogについて:Read me

日記&一言感想
→ にゃんこ雑記
お知らせ用twitter
お知らせ
中の人はこちら
つぶやき

Twetter

RECOMMEND

参加させていただいています!

【このBLがやばい!2019年度版】
(漫画中心に小説、CD含めBL全般)

【はじめての人のためのBLガイド】
(ほぼ漫画のみ)
はじめての人のためのBLガイド

作家さん別感想記事リスト

Comment

Trackback

サイトリンク

BL Novels TB

BL Comics TB

BL×B.L.People


お役立ち


with Ajax Amazon

メールフォーム

基本的にレスは雑記の方でしています。数日経っても応答がない場合は送信エラーの可能性があります。「取扱説明書」を参照してください。

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSフィード

| ホーム |