にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

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帰宅 :剛しいら

帰宅帰宅
剛 しいら

角川書店 1997-02
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by G-Tools

この作品を初めて読んだのは10年ほど前。→【JUNE再読】
「水の記憶」を読んだ後、ふと思い立って読み返してみましたが。
これがデビュー作とは恐れ入りました。巧い!
【帰宅/剛しいら/茶屋町勝呂/ルビー文庫(1997年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!!
爆発事故で妻を失い、ひとり息子も大怪我を負った中堅俳優の佐伯は、事故後の息子が異常な愛情で接してくるのを苦悩しつつも、受容していた。しかし、「息子」として接していた彼は本当の息子ではなかった…。表題作のほか、デビュー作に書き下ろしを加え、痛く、せつない愛を描いた、著者初の作品集となるラブ・ストーリーズ。


【あらすじ・感想など】
短編3話収録。
『ぴすとる』
学校をさぼり毎日フラフラと過ごしていた秀明(15歳・受)は、ある日、以前カツアゲされていた中学校の先輩・山内(17歳・攻)に再会する。
脅されるままにコンビニ強盗を手伝ってしまい、そのまま大阪へと連れて行かれた秀明。
初めは銃で脅された恐怖だけだったのが、次第に仲間意識が生まれ、いつしか秀明は自分に執着する山内に惹かれていった。
しかし、楽しいだけの毎日はいつかは終わる。
山内は秀明を解放しようとするが…。

一緒に過ごすうちに、母子家庭で育った秀明は山内に父親的なものを感じ、それはいつしか好きだという気持ちに成長していきます。
初めはストックホルム症候群的な感情であったかもしれませんが、山内の温もりがかけがえのないものになっていく。
山内も、秀明を選んだのは偶然だったのですが、そんな秀明が愛しくなっていきます。
山内の父親はろくでもない奴だったので、理想の父親像を無意識のうちに山内は演じていたのかもしれない。
お互いの気持ちを知り身体を重ね合いながらも、二人ともこんな日々が永遠ではないことを知っている。
切ないなぁ。
 いつか会えますね。
 そうだ、この書き出しがいい。

ラストはちょっと苦いけれど、ハッピーエンド。
出会いは乱暴だったけれど、お互いに大切なものを知り、そしてこれからその気持ちをはぐくむ時間を経て成長していくのでしょうね。

『帰宅』
中堅所の俳優として、それなりに売れている佐伯裕造(41歳・攻)。
佐伯は仕事が忙しくなるにつれ、息子・尚紀(16歳)と関係は希薄になってしまっていた。
ところが、ある日突然事故で妻を失い、そして尚紀は大怪我を負う。
佐伯はこの事故によって息子に対する愛情を思い出し、大切にしていこうと思っていた。
その息子・尚紀は火傷や打撲を負ったために顔は整形手術し、熱風によって喉は焼けてしまったために声も変わった。
さらに事故の影響か、二人きりの生活が始まると、父親への執着は増していった。
それは次第にエスカレートし、佐伯は息子が自分を父親としてではなく、男として好きなのだと気付くが、突き放せない。
そして、そんな息子に違和感を感じていた佐伯は、ある時同じ事故で亡くなった息子の同級生の存在を知る。
息子は別人なのだと気付く佐伯だが…。

巧いなぁ。
大胆な設定だけれど、ちゃんと辻褄は合ってる。
あり得そうで怖い。
佐伯は息子の愛を拒絶できず、泥沼に嵌っていってしまいます。
人生捨ててまで佐伯にへの想いを貫く「尚紀」の執着もすさまじい。
別人だと知りながらも、それを認めると「尚紀」を失い、息子の死を受け入れなければならないというジレンマ。
結局「尚紀」を受け入れることになる佐伯ですが、それによって行き場を失う息子の魂に対して「お帰り、尚紀」と声をかけるラストが、痛いけれども多少救いがあってよかった。

『一枚の遺書』
近江政彦(15歳・攻)の親友・須藤眞澄(15歳・受)が、ある日一枚の遺書を残して自殺した。
その遺書には、政彦からのイジメが告白されていた。
親友だった眞澄が何故?

政彦と眞澄は親友同士だったけれど、眞澄はそれ以上の気持ちを持っていた。
眞澄の気持ちを知った政彦は突き放すこともできず、結局身体の関係を持つようになる。
でも、眞澄の一途な気持ちに対して、政彦は「好き」だけれど眞澄に同じように気持ちを返すことはできず戸惑う。
そんな時に起きた眞澄の自殺。
それによって政彦は「もっと愛してあげなければいけなかったのだろうか」と自分を責めるが、自殺の真相は別の所に。
真実を知った政彦は、直視できなかった自分の本当の気持ちを受け入れる。
眞澄が死ななくても、その歪みはいつか耐えきれないものになっていたんでしょうね。
ラストはかなり痛いです。
最後の2ページは思わず泣きました。
でもこれも真実。だからこそ痛い。

--
3話とも、かなり大胆な展開ですが無理がない。
心理描写が巧くて、どのキャラにも共感できます。
そして、どれも痛いです。BLというよりJuneだなぁ。
野村史子先生をもうちょっと優しくした感じの短編ですね。
剛先生のその後の作品を全然読んでいないので、今の作風を把握していませんが、この短編はかなり好きです。
恋愛だけじゃなく、人間の弱さや狡さをしっかりとらえていて、かなり惹き込まれる。
思春期の男の子の心理描写が巧い。
あとがきでご自身の再出発について触れていますが、この3話とも「再出発」なんだなとハッと気付きました。
秀明と山内も、佐伯と尚紀も、そして政彦も。
すべてが明るい「再出発」ではないけれど、今を乗り越えて行くには必要な一歩なんですね。
特に『一枚の遺書』が好きです。
剛先生、これがデビュー作なんてすごいわ。

10年程前の作品で私はリアルタイムで購入したんですけど、やおい熱が冷め気味だった頃なので「おもしろかったな」くらいにしか思ってませんでした。
今改めて再読してみて、この頃の作品の完成度の高さにちょっと感動してしまった。
昔は文章は巧くて当然だったのになぁ…。うーむ。
アムロとか黒夢とか、そしてパソコン通信とか、その辺は時代を感じますけど、作品としては古さを感じさせません。
今では既刊100冊を超える剛先生。(当時はこんな大物作家さんになるとは予想もしてなかった…)
その第一歩となったこの作品、是非どうぞ。
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2006.12.22 10:02 | 剛しいら | trackback(0) | comment(0)
            












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