にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

本番開始5秒前 :菱沢九月

4199004149本番開始5秒前 (キャラ文庫)
菱沢九月
徳間書店 2006-10-27

by G-Tools

珍しくラブコメ?と思ったら、途中からはしっかり菱沢節でした。
菱沢先生の書く、体温低めの受が好き。
【本番開始5秒前/菱沢九月/新藤まゆり/Chara文庫(2006年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!!

【あらすじ・感想など】
地元を離れ東京の大学に進学したものの、やりたいことは見つからない。
からっぽな自分を感じながら、地元に帰ってきた芳野幸也(22歳・受)。
アルバイトを探していた幸也は、知人に紹介され、地元テレビ局の番組を制作している会社で構成作家のバイトをすることに。
一緒に組むことになったディレクター・高澤晃平(27歳・攻)は、無愛想で幸也に冷たい。
高澤を苦手に思いつつも、幸也は高澤が気になってしまう。
高澤に嫌われたくない、好かれたい。
そんな時、カメラマンの一光に迫られ、キスされてしまう。
それを知った高澤は「こんなに隙だらけだから付け込まれるんだ」と言って、幸也にキスをしてくるが…。

幸也は普通の男の子ですが、実は結構繊細で臆病。
それを隠すために一見明るい男の子を装っています。
でも、高澤に対する気持ちが恋愛感情だと気付いてしまい、動揺してしまう。
自分の内面をさらけ出さなければならない恋愛が怖い。
幸也は高澤への気持ちを抑えようとしていたのですが、高澤は幸也が好きだと告白してきます。
自分の気持ちを伝え、セックスもした。
なのに、幸也は高澤から離れようとする。
膨れあがる「好きだ」という気持ちが怖いから。

幸也、相当ネガティブ思考です。
でもその気持ちは自分にも思い当たる。
子供の頃のちょっとした事がトラウマとなったりしているのですが、そのエピソードはムリがないし、理解出来ます。
些細なことなんだろうけど、それが胸に刺さって怖くなる。
「自分のいう言葉で人の気持ちが動くのが怖かった」
という幸也の言葉はズキッときた。
似たような体験がある人は、少なくないんじゃないかな?
そして、高澤に対する気持ちが揺れている時の心理描写。
“心というのはときどきとんでもなく単純だから”
高澤にキスされたから「好きだ」という気持ちに気がついたし、一光に対して今は恋愛感情を持っていないけど、身体の関係を持ったら好きになるかもしれない。
自分の気持ちなんて実は自分だってよく分からないし、曖昧なものなんだよね。
やさしい一光に流されようとする幸也は一見ずるいようだけど、そんな気持ちも分かるなぁ。

序盤は軽めのノリかと思いましたが、途中からはすっかり菱沢節でした。
吐き出すような心理描写。
話の内容は重くないのに、胸にきます。
自分でも忘れているような小さな心の動きを丁寧に拾っていて、「あ、それ分かる」と思わせる。
自分でもよく分からなかったモヤモヤっとした部分をついてくる。
幸也はかなりネガティブ思考で、余計なことを悶々と考えて自己完結して諦めに走っていたり…
イライラしてしまうような性格なのに、それでも感情移入がちゃんと出来るのは、こういった辺りがしっかりしているからだろうなと思います。
さすがです。

ただ、ちょっと消化不良気味。
話が軌道に乗るまで長かった気もする。
高澤もかなり不器用な男だというのは分かったけど、ちょっと印象薄いかなー。
そして、最後がちょっと急ぎすぎで中途半端な気がします。
別に濃い絡みが欲しいわけではないですが。
二人は一応両思いにはなったけれど、この後順風満帆とは思えない。
まだまだ超えないといけない山はあると思うし、そこをもっと読みたいので続編が欲しい!
高澤視点で読んでみたいなぁ。

好きだからこそ気になるところもありましたが、読み応えもあって面白かったです。
菱沢先生好きだー、と再確認。
関連記事
2006.10.30 09:49 | 菱沢九月 | trackback(2) | comment(4)
            

はじめまして、水月ゆうと申します。秋月さんのサイトでよくお見かけしてたんですが、今回コメント&TBさせていただきます!以後お伺いすると思いますがよろしくお願いします!
幸也、ほんとにネガティブですよね、でもすごく分かると思いました。誰でもこんな体験というか気持ちはあるんですよね、きっと。
確かに高澤って存在感薄かったかもしれないです~(笑)いつの間にかくっついたって感じでした。一光の方が幸也との絡みも多くて、印象に残る気がしますね。
私も続編でたら良いなと思います。また幸也の後ろ向きな気持ちが出そうですが、それを乗り越えてもっとラブになった二人を見てみたいです。
ではでは。

2006.10.30 20:58 URL | 水月ゆう #99eKG97o [ 編集 ]

にゃんこさん、こんばんは~。

高澤は確かにちょっと存在感が薄かったですね。
前半の仕事部分は、厳しいけれどしっかりした大人、って感じで魅力あったんですが、恋愛が前面に出てからはちょっと、手が早かったりで、アンバランスな感じがしました。
一光のほうが印象に強く残りました~。
友達と寝るのもアリとか、片思いの相手の恋愛相談にもちゃんと乗ってあげられるとか、そういう考え方で、彼が主役の話だとどうなるんだろうと思っちゃいました。
その中で、幸也と高澤のその後がちょっと見られたらいいかな、と思います。(勝手にリンク作希望・笑)

「心」が複雑でもあり、単純でもあり。そういう微妙な部分まで、なるほどなと思わせてくれる、菱沢さんらしいお話でした。

TBさせてくださいね。

2006.10.30 23:03 URL | 秋月 #3VVjZltY [ 編集 ]

水月さん、はじめまして!

幸也の性格はちょっと後ろ向きすぎますけど、なんか妙に親近感も感じます。
ふと考えると、「小説家は懺悔する」の律も同じような性格だったかな。
菱沢作品には、ネガティブ思考キャラが合いますね。
…というか、ポジティブなキャラは考えられないかもしれない(笑)

>もっとラブになった二人を見てみたいです
私もです!
一光も気になりますし、是非続編を出して頂きたいですね。

コメント&TBありがとうございました☆
これからもよろしくお願いします!
それではまた。

2006.10.31 10:45 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]

秋月さん、こんにちは。

>彼が主役の話だとどうなるんだろうと思っちゃいました。
あとがきで菱沢先生もそこに触れてましたけど、一光に合う相手ってどんな人なのか、ついつい考えてしまいました。
一光攻だったら、子犬系のほっとけない天然ボケ受、一光受けだったら、どっしりかまえて一光を手のひらで転がすオヤジ攻…なんてどうでしょうか。
私は一光受を希望します(笑)
ちょっとタイプは違いますが、菱沢先生の「こぼれそうなハニー」の攻・仁科を思い出してしまいました。
続編もいいですが、一光メインでリンク作、というのも惹かれますねぇ。

コメント&TBありがとうございました~
ではでは、こちらからも伺わせて頂きます!

2006.10.31 10:55 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://macnyanko.blog22.fc2.com/tb.php/275-26aedb08

本番開始5秒前
本番開始5秒前菱沢 九月 徳間書店 2006-10by G-Tools*STORY*なんであの人は俺だけにつめたいんだろう…?新人構成作家の幸也(さくや)は、TV番組の敏腕ディレクター・高澤の下で修行中。けれど、他の仕事相手には穏やかな高澤は、ナゼか幸也にだけは無愛想で…。落ち込ん

2006.10.30 20:53 | 日々精進。-BLバージョン-

『本番開始5秒前』
「本番開始5秒前」  菱沢九月/新藤まゆり 徳間書店キャラ文庫 (2006.10)【あらすじ】東京の大学へ進学したもののやりたいことも見つからず、卒業して地元に戻った芳野幸也(さくや)。アルバイトの合間に就職情報誌を眺めては、実家で肩身の狭い思いをしていた幸也

2006.10.30 22:51 | 月と凌霄花

最近の記事

プロフィール

Author:にゃんこ
漫画も読むけれど、やっぱり小説が好き! 小説を中心にBL本の感想を書いています。

このBlogについて:Read me

日記&一言感想
→ にゃんこ雑記
お知らせ用twitter
お知らせ
中の人はこちら
つぶやき

Twetter

RECOMMEND

参加させていただいています!

【このBLがやばい!2019年度版】
(漫画中心に小説、CD含めBL全般)

【はじめての人のためのBLガイド】
(ほぼ漫画のみ)
はじめての人のためのBLガイド

作家さん別感想記事リスト

Comment

Trackback

サイトリンク

BL Novels TB

BL Comics TB

BL×B.L.People


お役立ち


with Ajax Amazon

メールフォーム

基本的にレスは雑記の方でしています。数日経っても応答がない場合は送信エラーの可能性があります。「取扱説明書」を参照してください。

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSフィード

| ホーム |