にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

青水無月 :水原とほる

4877245340青水無月 (ガッシュ文庫)
水原とほる
海王社 2006-06-30

by G-Tools

おぉ!
水原先生、やっぱこうこなくっちゃね!
久々に水原先生らしい作品で、おもしろかったです。
【青水無月/水原とほる/稲荷家房之介/GUSH文庫(2006年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!!
【あらすじ・感想など】
高橋睦実(24歳・受)は、離婚して離れていた父親が亡くなったため、父親に引き取られていた大学生の弟・達也(18歳・攻)と同居する事になった。
10年ぶりの再会を喜ぶ睦実だったが、夜になり突然豹変した達也は暴力を振るい、犯されてしまう。
恐怖を感じる睦実だが、普段は優しい達也を突き放す事が出来ず、関係を断ち切る事が出来ない。
親友の高瀬に説得され、達也と距離を置こうとした睦実だが…。

大好物の近親相姦モノです。
そして、水原先生らしく、暴力満載。
でもただの暴力ではなく、ドメスティック・バイオレンス(DV)だという点が怖かった。
逃げたくても逃げられない、この負のスパイラルは、誰の身にも起こりうる事であり、決して他人事ではないんじゃないかと思うと、いつも以上に重かった。

達也は両親の離婚後、父親に引き取られたものの、ろくに働かずアル中の父親に暴力を振るわれることに。
母親と平穏な生活を送っていた睦実は、そんな達也に対して後ろめたさを感じているうえ、弟である達也を突き放す事ができず、暴力や身体の関係を受け入れるしかない。
一時の興奮を過ぎると優しくなる達也に、徐々に落ち着き始めているのではないかと期待してしまい、どんどん深みにはまっていってしまいます。
達也の二面性に多少戸惑いを覚えますが、こういった暴力を振るってしまう過程はこんなものかな、とも思います。
いわゆる「キレる」状態で、脳内でスイッチ切り替わるみたいな感じじゃないかなと。
悪意による暴力でないというのは、タチが悪いですね。
しかも肉親なので、見捨てる事も出来ない。
なので、どうにもならない状態に陥った睦実が分からないでもない。
怖いなぁ…。

さすがに目に見えておかしくなってきた睦実を心配した親友の高瀬に説得され、睦実は達也と距離を置くために高瀬の部屋に一時的に避難する事に。
この間違った関係を修復するために距離を取り、達也が立ち直るのを支えよう、と考えた睦実ですが、再び達也と会い、それではダメだと気づきます。
幼い頃、母親に捨てられたというトラウマを抱え、甘え方を知らず、大人になりきれない達也。
「また置いていかれるかも知れない」という不安から、睦実の愛情を暴力によって確かめていた事に気づき、睦実は達也のそばにいなければいけないと思い至ります。
そして、本心では一方的な支配を受ける事に父性を感じ、求めていた睦実。
そんな歪んだ関係を受け入れ、睦実は達也と共に生きていく事となるのでした。

この「青水無月」の後に収録されている「半夏生」は、その後の二人のお話。
二人の関係を知った高瀬の行動が、結果的に二人の絆を強くしたのでした。
可哀想な高瀬…。
恋愛以上の結びつきがある二人に割り込む事なんて到底ムリなのですよ。
でも、結局これによって、二人、特に睦実は達也との関係に抱いていた不安を吹っ切る事ができます。
これがいい事なのかどうかは分かりませんが、二人はさらに深みにはまっていくのでした…。

達也の行動は常軌を逸していますが、二人の関係はかなり説得力があります。
お互いに母性愛と父性愛を求めている。
亡くなってしまった父親はともかく、本来なら、母親が達也を立ち直らせるべきだと思うのですが。
いくら離婚して自分の手から離れたとはいえ実の子なのだし、引き取ったからにはその責任は果たすべき。
そもそも、離婚の原因は母親にもあるわけですからね。
あぁ、やりきれないわ。

イラストは稲荷家先生。
うーん、受の体つきがいやらしい(笑)
あとがきのイラストが、この二人の関係を物語ってるな~。

最近の水原先生は、「鬼畜」路線から離れようとしているのではないかと感じてました。
榎田先生とか、オールマイティーな作家さんもいますが、別にみんながみんなそこを目指す必要はないと思う。
“総合職もいいけど専門職も必要でしょ”ってことで、水原先生には「鬼畜」で心身共に痛さ全開路線を突き進んで欲しいなぁ。
今回は、そんな水原先生に久々に出会えてよかったです!

この本の番外編も、全サで読めるのね~。
ウッハー!ワクワク。
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2006.07.04 09:55 | 水原とほる | trackback(2) | comment(8)
            

はじめまして、こんにちは。秋花さんのところからお邪魔しました。
水原さんお好きなんですね。他、吉原さんの二重螺旋シリーズとか夜光花さんの
レビュー読ませて頂いて余りに好みが似ているので思わず書き込んでしまいました。
お見苦しいカキコでしょうが、お許し下さい。

この作品は結構賛否両論みたいですね。作者が水原さん、絵が稲荷屋さん、実の兄弟
もの、ばりばりの執着系。これだけで私は狂喜乱舞だったんですが(笑)
暴力の連鎖についての描写など痛すぎる点が確かに多いんですが、こういう閉ざされた
世界で愛し合う二人(それが世間一般の幸せの基準でないにしても)っていうのが私は
大好きなので、この結末も大変満足なものでした。「チャイナ・ローズ」や「初恋」で水原さん
特有の鬼畜さが薄れていて作家買いを再考していたんですがコレ読むと、やはりしばらく
はやめられそうにないです。
ちなみに「チャイナ・ローズ」のにゃんこさんの「出汁の入ってない味噌汁のよう」という表現
にバカ受けしました(笑)やはり、味噌汁はしっかり味がしたほうがいいと私も思います。

2006.07.25 12:39 URL | ぽん #obWbQ39E [ 編集 ]

ぽんさん、こんにちは。

腐女子といえども萌え所は結構違うものなので、好みが似ていると言って頂けるととてもうれしいです!

私も、水原×稲荷家×近親相姦、これだけで興奮してしまった一人です(笑)
この作品、万人受けはしないでしょうねー。
なんというか、「催眠商法にかかってしまった友人を説得したいが、何を言っても無理だった」的な話…?
やりきれなさは多少残りますね。
でも、私もぽんさん同様、こういった「閉ざされた世界で愛し合う二人」というのは嫌いじゃないので、こんなラストで大満足でしたよ。
BLなんて、程度の差はあれ「閉じた世界」ですよね。
水原先生には、この路線を突き進んで欲しい!容赦なくドロドロで!
「だし」が効いてない水原先生は、物足りませんよね(笑)?

コメント、ありがとうございましたm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

2006.07.25 13:22 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]

にゃんこさん今晩は。

先には、TBとコメントを頂きまして、ありがとうございました☆
こちらからもお返しをさせて頂きますね。

こちらの作品は大変に痛いのですが、にゃんこさんの感想やコメントから、
「大好きオーラ」が出ている事に、思わずニヤリとしてしまいました。(笑)

それにしても水原先生。こんなにも、読者を怯えさせる事の出来る作家さんは少ないので、
これからも独自路線で頑張って頂きたいものですね。

痛いけれど読むのを止められない。

そんな作品を書く事の出来る作家さんは少ないですしね。

そうそう。遅くなりましたが、当方のブログをリンクして頂いてありがとうございました。
他のブログ様と比べましても、異様に「ゆるい」ブログではありますが、
これからも宜しくお願い致しますね♪

それではまた☆

2006.08.03 22:19 URL | ハスイ #MMIYU.WA [ 編集 ]

ハスイさん、こんにちは!

「大好きオーラ」出てましたか…
うれしいですー(笑)
コメント頂いて、痛い水原先生を求めているのは自分だけじゃないんだなと、ちょっと安心しました。

こちらこそリンクして頂いてありがとうございました。
ハスイさんの「ゆるい」けれども的確なレビュー、毎回楽しみにしてます。
再度TBさせていただきましたが、今回はうまくいったようです。
ご迷惑おかけしました。

それでは、またそちらにおじゃまさせて頂きます。
コメント&TBありがとうございました!

2006.08.04 14:58 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]

こんにちは。セナです。v-10
普段私は甘い目の話が好みです。それで水原とほるさんはちょっと怖かったんですよね。
しかしこの頃はちょっと痛い系の話も求めています。(笑)で、挑戦します!
一応前から気になってた「夜夜の月」と、この「青水無月」で入門しようと思います。にゃんこさんのレビューを全部読みましたけど、私はこの作品の痛さの加減までがリミットらしいですね。(苦笑)dvは痛いけど、この執着系とか実の兄弟ものは萌え萌えです!^^歪んだ関係でも、ある意味のハッピーエンドですね。
私はとにかくsadエンドは本当に苦手なんです。(涙)それでこの本を選びました。

私ももうすぐにゃんこさんのように水原さんのファンになれるんでしょうか!(笑)

なんか古い記事にばかりコメントしてる気がしてるんですけど、まだ7月新作が届いてないんです。海外ファンは悲しいもんですね。v-279

p.s 間違った日本語があればどうかご指摘くださったら嬉しいです。

2007.07.18 06:04 URL | セナ #mQop/nM. [ 編集 ]

セナさん、こんにちは!

確かに水原先生は怖いかもしれませんね~。
精神的にも、そして肉体的にも痛い話が多いですから…。

このお話は痛いし、この執着がちょっと怖いなぁと思うのですが、見方によっては他より遥に絆が強い恋人同士なので幸せですよね。
全員サービスの小冊子にこのお話の番外が載っていたのですが、本編よりあたたかい雰囲気でホッとしました!
ちゃんとうまくいってるみたいです(笑)

もうすぐ水原先生の新刊が出るので、そちらも楽しみです。
早く届くと良いですね!

古い記事でもコメントを頂けると嬉しいです。
日本語、全然間違ってないですよ!
いつも感心しています。
私の方こそ日本語を間違えていそうで、ちょっと不安ですよ~(笑)
分からない言葉があったら遠慮無く質問してくださいね。

コメントありがとうございました。
それではまた!

2007.07.18 10:00 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]

にゃんこさん、こんばんは!。

古い記事へのコメントで大丈夫でしょうか?。すみません…。

これこそ水原作品デスね!!。痛いし怖いし執着してるし壊れてるし!。

でもこういう痛くて切なくてツライのが好きだから水原先生の作品が好きなんですね~。
あのラストには私も満足です!。

明るく元気でラブラブハッピーなお話は私はあまり得意ではないので…。

ちなみに私のファースト水原作品は「アシメトリー」でした。

おじゃましました。それではではまた!。

2008.05.05 22:49 URL | 雪兎 #- [ 編集 ]

雪兎さん、再びこんにちは!

ふふふ、痛いですよねw
暴力はもちろんいけないことですが…。
読む分には楽しめます。

雪兎さんの初水原作品は「アシメトリー」なのですねー。
痛さの中に救いがあって、私は結構好きな作品です。

こちらにもおいで頂き、ありがとうございました!
それではまた。

2008.05.06 18:55 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]













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