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BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

薫りの継承(上下巻) :中村明日美子

4799726358薫りの継承 (上) (ビーボーイコミックスデラックス)
中村 明日美子
リブレ出版 2015-08-10

by G-Tools

湿度の高い背徳感たっぷりのお耽美なストーリー。
こんな作品を待っていましたー!
【薫りの継承(上下巻)/中村明日美子/BBC DX(2015年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!
比良木忍は兄といっても、血の繋がりはない。義理の兄だ。竹蔵は後妻の連れ子として、比良木家に迎えられた。兄はいつも冷たく汚物のように、竹蔵を見下す。深い嫌悪と憎悪に満ちた射殺すような視線。毎日毎時毎秒、兄に殺され続けていた。竹蔵は兄に欲情していた。
ある晩、竹蔵は正体を偽って兄の寝室に忍んだ。義姉の香水を身につけ、兄の目を覆い隠す。そして、己の欲望の猛るままに兄の体を貫いた……。


【あらすじ・感想など】
後妻の連れ子として平良木家にやってきた竹蔵は、そこで義理の兄である忍と初めて顔を合わせた。
その中学生の時から大人になった今に至るまで、竹蔵を拒み、憎悪と嫌悪を隠さない忍の態度は変わらない。
レストランのオーナーとなった竹蔵は、忍が結婚した後も、冷たい態度を取られながらも度々顔を出していた。
そんな竹蔵の行動の裏にある感情は、忍の息子・要に見抜かれていて…。
義理の兄弟の話。
平良木家は資産家で、忍は子供の頃から相応の教育と躾をされて育っています。
独身時代はふらふらと様々な女性と関係を持ちながらも、許嫁である女性と結婚をし、家を継ぎ、子供も作り、平良木家の伝統を守り続けている。
一方、忍に拒絶されつつも兄が気になってしまう竹蔵は、次第にそれが恋愛感情である事を自覚するようになりますが、その想いは秘めたまま義理の弟として側に居続けています。
その関係のバランスが変わることになったきっかけは、忍の息子である要に唆され、怪我の手当のため一時的に包帯で目を覆われていた忍に欲望をぶつけてしまった、ある晩の出来事。
翌朝何もなかったかのように振る舞う忍を前にして、竹蔵は自らの行動を恥じ、それ以来忍の前から姿を消します。
でも、その時蒔かれた種は、竹蔵の中でも、忍の中でも、そして要の中でも発芽し、ゆっくりと心を蝕んでいく。
序盤は竹蔵の視点で描かれている部分が多く、ドSな義理の兄に報われない片思いをしているヘタレな男の話かと思わされますが、徐々に登場人物達の中に潜む闇が暴かれていき、目が離せなくなっていきます。
ふとした事から始まった、忍と竹蔵の密会。
何も生まれないと分かっていながらも、平良木家を破綻させないため、そして忍の心を守るために、竹蔵は無言で受け入れ続けるしかありません。
でも、危ういバランスの上に成り立っている関係を、守りたいと思う一方で、破壊願望も抱えている。
この不毛な関係が一体どこに向かうのか。
いつ修羅場が訪れるのか。
ハラハラしながら読みつつも、そんなドキドキがたまらなく刺激的でした。
プライドが高く、強くあるために自分を律している一方で、実は脆い忍。
気の弱い男に見えて、その内実、忍への強い執着心と他者への冷酷さを秘めた竹蔵。
このふたりの二面性が軸になっていますが、脇で登場する要や忍の妻・茉莉子、名もないような男も含め個性的な人物たちの様々な思惑が入り乱れ、大きなうねりに繋がっていく。
最後まで目が離せませんでした。
そして、読み終わったあとしばらく余韻から抜け出せなかったです。

明日美子先生の作品は、「同級生」をはじめとした爽やかで可愛い路線と、「Jの総て」などのお耽美路線がありますが、今回は言わずもがな後者です。
私はこちらの作風の方が好みなので、「待ってました!」という感じ。
魔性、エロティック、背徳感などなど、お耽美な要素たっぷり。
流石明日美子先生。
言葉以上に語っている視線や仕草にゾクゾクしちゃいます。
この手の世界観を違和感を覚える隙なく描ききれる作家さんは、小説でも漫画でも、そうそういないんじゃないかなと思います。
しかもこの閉鎖的な雰囲気が、海外や明治や昭和初期あたりの日本だったら間違いなく嵌まりますが、現代設定なのがまたすごい。
まぁ、生活感がないのはお耽美の基本ではありますが。

そして、もちろん萌えエロもたっぷり!
濃厚です。
表面上はドSっぽい忍とドMっぽい竹蔵が、セックスになると形勢逆転していて、特殊な状況といういい訳の元に本来の姿をさらしている関係がすごくいい。
さらに、終盤、ついにそのいい訳もない状態で自分を晒している忍の表情が……もう可愛すぎて悶えました。

ということで、明日美子先生の新刊はどっぷりお耽美な作品でした。
大好物すぎて鼻血出そう。
ゲイである事を受け入れた男と、受け入れる事の出来ない男の対比。
自分を騙し、周囲を騙し、そうして築いてきたものを守るために生きてきたけれど、心の奥底にある渇望から逃れることが出来ず、結局、幸せを得るために総てのものを失う。
竹蔵の健気さももちろんいいけれど、好きなのに好きだと言えないプライドの高い男が、追い込まれて追い詰められて、最後についに…という不器用な男に萌えました。
帯には『衝撃の終幕』とあり、「もしやバッドエンド?!」と不安に思っている方もいると思いますが、バッドエンドではありませんのでご安心を。
ただまぁ、最後は報われているとは言え、手放しで喜べるようなハッピーエンドではありませんが。
この余韻がまた味だと思います。
儚いからこそ萌え。
シリアスでゾクゾクするような濃厚な禁断の愛。
面白かったです!大満足!

4799726366薫りの継承 (下) (ビーボーイコミックスデラックス)
中村 明日美子
リブレ出版 2015-08-10

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