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彼の愛した翠色 :綾ちはる

4778116623彼の愛した翠色 (ショコラ文庫)
綾 ちはる
心交社 2014-07-10

by G-Tools

このネタはある程度展開が分かっていても泣いてしまう…。
読み応えたっぷりで大満足です!
【彼の愛した翠色/綾ちはる/松岡なお/ショコラ文庫(2014年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!
翠を守るために、僕は生まれた―幼い頃、森岡翠の中に生まれた別人格・スイ。そのスイを残し、身体の持ち主である翠が消えた…。二人の幼馴染である笠野真優が翠に告白した数日後のことだった。それから一年。大学生になった今でも翠が帰ってくると信じて疑わない真優に、スイは苛立ちにも似たもどかしさを感じている。翠への失望と諦めから自分を選べばいいと迫るスイだけど、真優は決して頷いてはくれなくて…。

【あらすじ・感想など】
幼い頃、恵まれない幼児期を過ごしている中で、翠を守るために生まれたもうひとつの人格・スイ。
その後児童養護施設を経て森岡家の養子となり、スイの存在を理解してくれる人たちに囲まれ、翠は平穏な日々を過ごしていた。
けれど、1年前に翠は消えてしまう。
隣の家に住む幼馴染み・笠野真優は、変わりなくスイに接しながらも、翠が戻って来る事を信じていて…。
という、二重人格(正確に言うと解離性同一性障害?)もの。
核心部分のネタバレはしないように書いていますが、未読はご注意下さいませ。

二重人格と聞くと深刻な問題を抱えているように感じますが、翠は幼い頃からずっとスイと共存してきていて、周囲もそれを理解し見守っているので、人格間の葛藤や家族問題はなく平穏に暮らしています。
病院には通っているけれど、積極的な治療をしているわけではなく、気兼ねなく話が出来る環境を作るという意味が大きい。
そんな穏やかな共存を続けているもうひとつの人格・スイは、翠を守るために生まれた人格なので、心が弱い翠に対して、比較的明るく前向きな性格です。
スイは翠の行動を知っているけれど、翠はスイになっている時の記憶はありません。
性格的にも翠より優位に立ち得るスイですが、翠を消したいなんて思っておらず、翠を見守りながらよい関係を保ったままこれまできたのですが…。
突然の真優の告白によって事態は大きく動きます。
3つ年上の真優とは翠が森岡家に来たときからの付き合いで、小中高と、学年は違ってもずっと一緒に登下校してきて、大学も真優と同じ。
友達を超えた家族に近い特別な存在の真優に、ある日翠は告白されてしまいます。
でも、今まで恋愛感情を考えた事のなかった翠にとって、それは恐怖でしかない。
真優が大切な存在であるからこそ、こんな自分がずっと側にいてはいけないと翠は強く思っていて、告白を受け入れる事が出来ません。
そして数日後、翠が消え、森岡翠の心はスイになってしまった。
翠よりも社会生活に対応しているスイになった事で、いろいろな問題が丸く収まると本人は思っていたのですが、1年経っても何故かうまくいきません。
スイに対して変わらず優しいけれど、翠への恋慕を隠そうとしない真優。
じりじりとスイを追い詰めていくような真優の言動に、私は最初、悪気はないかもしれないけど酷い男だなと思って読んでいました。
スイに向かって「翠が好きだから帰ってきて欲しい」と言うのは、結果的にスイを否定するのと同じなのでは?、と感じてしまってモヤモヤ。
ただ、ふとした時に垣間見えるスイの行動から、翠は消えてしまったのではなく、何らかの形で残っているのかもしれないという予感もあって、そこに真優の翠を求める気持ちがどう影響を与えていくのかが、どんどん気になってきます。
翠とスイ、真優、それぞれが何を思い、何を抱えていたのか。
そこに秘められていた深い愛情と優しさを知って、涙があふれました。
誰もが「自分なんて」と思ったりすることがあると思うけど、翠の場合、スイという逃げ場を作って乗り切っていた。
でも、いつまでもそのままではいけないと、本当は分かっているんですよね。
翠もスイも。
もう逃げる必要のない環境の中で、前に進む為には変わらなければいけない。
ふたつの人格が共存しているという特殊な設定ですが、弱い自分を変えていこうともがいている姿は自分にも身に覚えのある心理なので共感出来ます。
ダメな自分を受け入れるのは難しいですね。
悩んでいるときは自分の事ばかりで視野が狭くなっているけれど、外に目を向ければ、ちゃんと自分を見守ってくれている人はいる。
苦しいトンネルを抜けてそれに気付いていく過程がとてもよかった。
すっかり同調してしまい、喜びや感動で胸がいっぱいになりました。
ずっとあったモヤモヤもスッキリ解決。
そして、最後の手紙にとどめを刺されました。
私、手紙に弱い…。
家族の繋がりにも泣かされます。

ということで、綾先生の新刊はふたつの人格を持つ主人公の話。
綾先生は毎回謎解き要素がありますね。
今回も最後に隠されていた部分が明らかになり、「なるほど!」となりました。
あとがきでも触れられていましたが、前作の「あなたに恋はしたくない」と話の作り方に共通点があります。(話に繋がりはないです)
でも印象はかなり違って、私はこちらの方が好みでした。
恋愛を絡めながら、自分と向き合い乗り越えていく。
そこがしっかり書かれているので、説得力があり、共感出来て面白いです。
あらすじを読んだ時は今回もまた特殊設定かと思ってしまいましたが、予想以上に話がしっかりしていたので読み応えたっぷりでした。
大満足!
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2014.07.26 12:37 | 綾ちはる | trackback(0) | comment(0)
            












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