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夕虹に仇花は泣く :神奈木智

4344831152夕虹に仇花は泣く (幻冬舎ルチル文庫)
神奈木 智
幻冬舎 2014-05-19

by G-Tools

待っていました仇花シリーズ第6弾!
佳雨の心に今まで以上に踏み込んだ内容で切なかった…。
【夕虹に仇花は泣く/神奈木智/穂波ゆきね/ルチル文庫(2014年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!
男花魁として人気の佳雨は百目鬼久弥との愛が確かなものになるにつけ、色街を出た後のことを考えるようになっていた。久弥の役に立ちたい―そう思い、英国人・デスモンドに英語を習い始めた佳雨。客なら割り切れるが、と嫉妬する久弥が佳雨は少しだけ嬉しい。ある日久弥は呉服問屋の当主・椿から彼の妻が佳雨の姉・雪紅だと話しかけられ…!?

【あらすじ・感想など】
「翠雨楼」の裏看板である男花魁・佳雨は、恋人である百目鬼久弥と自由に会えず、多くの客を相手にしなければいけない日々を辛く感じながらも、自分の力で「翠雨楼」を出て行くと心に決めている。
そんな中、外国人との商売も多い骨董商の久弥の役に立ちたいと、鍋島から紹介されたデスモンド・セシルに英語を習い始めた佳雨。
客ではないデスモンドとの時間は穏やかで充実していたけれど、そんな佳雨に何故か希里はもどかしく不安な気持ちを抱いていて…。
仇花シリーズ、今回はデスモンドという英国人の登場で一騒動起こります。
デスモンドは日本に来て10年あまり、今では色街に小さな屋敷を建て住んでいる裕福な30代半ばの英国人。
相談もせず、鍋島の紹介だったという事で久弥と佳雨はこの件で喧嘩をしていますが、ふたりの仲は安定しているし、久弥の役に立ちたいが為の行動なので、大きな問題にはなっていません。
でも、佳雨の世話係である禿・希里は佳雨の行動が納得出来ない。
上手く言葉には出来ないけれど、デスモンドと花魁ではない素の部分で楽しげな表情を見せる佳雨に、希里はモヤモヤとした気持ちを抱えている。
希里は跳ねっ返りな性格で思慮深いタイプではないし、佳雨にもズケズケとモノを言うので粗雑そうに見えますが実は結構人の心の機微に敏感。
佳雨が笑顔の裏に何か隠している事を感覚で察知していて、佳雨本人以上にその重さを感じ取っています。
一方、「百目鬼堂」から盗まれた曰く付きの骨董の最後のひとつ、赤楽の茶碗。
その行方を追っていた久弥は、佳雨の姉で、元売れっ子花魁の雪紅の夫に行きあたり、雪紅が病に伏している事を知る。
この茶碗を巡る騒動とデスモンドとの交流はどちらも雪紅に繋がっていて、佳雨がずっと心の奥に抱えていた傷と向き合う事になるという展開でした。
花魁として身体を売る日々は続いていますが、久弥との関係も安定した中で英語を勉強したりと前向きな精神状態に見えていた佳雨が、まさかこんな胸の痛みを抱えていたなんて…。
これまでの話で自分の力で廓から出るという佳雨の気持ちは理解していたと思っていたけれど、その決意は予想以上に重いものでした。

佳雨が自分の力で自由になるにはあと7年はかかります。
胸を張って久弥と生きていきたいという考えは理解出来るけれど、好き合っていて、相手の財力は十分あるのだから、久弥の気持ちを考えると流石に7年は長すぎるのでは?とも思いながら今まで読んでいました。
今回、その裏にあった切ない事情が明らかとなり、いろいろ納得。
過去に囚われたまま閉じた世界で生きているデスモンドとの出会いで、佳雨はデスモンドに自分を重ね、ずっと胸の奥にあった心の傷と向き合う事になります。
そして自分の間違いに気付く。
自分を支えるために意地と見栄を張ってきた佳雨が、誰にも言えなかった負い目を久弥に晒す場面に胸を打たれました。
強くて凛としている佳雨が好きだけれど、その裏にある弱さが見えるから魅力的なんだなと思います。
傍目にはしっかり者の佳雨が百目鬼の前では初心で一途なひとりの人間になっていて、それを隠していない(隠せていない)のがいい。

ということで、仇花シリーズ第6弾。
デスモンド登場で、向上心に水を差されて意地を張ってしまった佳雨と、嫉妬を我慢出来なかった久弥が喧嘩するけど仲直り、というくらいの話かと思って読んでいたら…そんな軽い話ではなかったです。
佳雨の心に今まで以上に踏み込んだ内容で切なかった。
そして、久弥の懐の深さと愛情の大きさにホッとさせられました。
このシリーズ、佳雨の年季が明けるまでまだまだかかるのに、いったいどう話をまとめるのかなと思いながら今まで読んでいました。
出来れば年季を待たずふたりには早く幸せになってもらいたいけれど、それには佳雨の気持ちが一番大事で、譲れない一線をどう解決するのか…。
今回、その糸口が少し見えてきた気がします。
この先クライマックスに向けて話が動くという事なので、鍵となっている雪紅との再会によって佳雨がどう自分の心を整理し受けとめるのか、そこが見所ですね!
相変わらず佳雨の無謀な行動に今回もハラハラさせられたけど、この先も久弥も読者もまだまだ心配事が尽きなそうです。
あと1冊か2冊かな?
幸せになって欲しい反面、シリーズが終わってしまうのは寂しいです。
希里や銀花、梓の事も気になるので、ゆっくりでもいいので続いて欲しい!

■仇花シリーズ
「群青に仇花の咲く」
「薄紅に仇花は燃ゆる」
「桜雨は仇花の如く」
「銀糸は仇花を抱く」
「橙に仇花は染まる」
「夕虹に仇花は泣く」

群青に仇花の咲く (幻冬舎ルチル文庫) 薄紅に仇花は燃ゆる (幻冬舎ルチル文庫) 桜雨は仇花の如く (幻冬舎ルチル文庫)
銀糸は仇花を抱く (幻冬舎ルチル文庫) 橙に仇花は染まる (幻冬舎ルチル文庫) 夕虹に仇花は泣く (幻冬舎ルチル文庫)
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2014.05.25 00:40 | 神奈木智 | trackback(0) | comment(0)
            












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