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リバーズエンド :木原音瀬

4883864138リバーズエンド (Holly NOVELS)
木原 音瀬
蒼竜社 2012-09-26

by G-Tools

十亀の過去と、「キャッスルマンゴー」のその後の話。
十亀が幸せになってくれて本当によかった…!
【リバーズエンド/木原音瀬/小椋ムク/Hollyノベルズ(2012年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!
十亀にとって高校も友達もどうでもよくて、父親がつくった借金の返済に追われ、バイトをしながら姉弟と一日をなんとか食べて生きること、それがすべてだった。そんな時、ふとしたきっかけから同じクラスの二宮と口を利くようになり、彼の明るさに十亀の心は少しずつ癒されていく。しかし、二宮にほのかな想いを感じはじめた矢先、哀しい運命が十七歳の十亀を待ちかまえていた―。表題作に加え、大人に成長した十亀が優しい恋人・万と出会い、映画監督への道を歩み始めた「今」の葛藤を描いた書き下ろしを収録。

【あらすじ・感想など】
『リバーズエンド』
父親の借金が原因で極貧生活をしている十亀俊司。
母親はホームレス生活をしていた頃に亡くなり、酒に溺れている父親は入退院を繰り返す日々で借金は膨らんでいくばかり。
何とか古い家に住まわせてもらえる事になり少しは楽になったものの、姉の小春は中卒で働きに出て、高校生の十亀も放課後はバイトをして家族の生活を支えている。
毎日の食事も満足に出来ない日々だが、それでも明るくあたたかい家族との生活に絶望はしていない。
けれど、厳しい現実はいつしか家族を追い詰め、ある日突然、十亀はすべてを失ってしまい…。

十亀が高校生の頃の話。
「キャッスルマンゴー」では30歳くらいなので、12,3年前の話ですね。
既にこの頃から自分自身の幸せを後回しにしていたんだな、という事がよく分かる。
姉と弟とのギリギリの生活や、同級生の二宮との交流は、普通の高校生とは全く違います。
父親がしっかりしていないがために、家族でホームレスだった時もあるし、なんとか高校に通えるようになっても、毎日の食事にも困る日々。
周囲の同級生が当たり前にしている事が、十亀にとっては非日常。
でも、そんな生活の中、十亀は憎しみの感情があまりないんですよね。
不幸の原因である父親に対して、諦めの感情はあるけど憎んではいない。
それは姉の小春にも言える事で、こんなにどん底の生活をしているにも関わらず、家族の形態が崩壊していないし、むしろ仲がいいくらい。
手を取り合わないと生活が成り立たないせいもあるだろうけど、この貧しくもあたたかい家族の繋がりがよかったです。
唯一の友人である二宮は、それを感じたからこそぶっきらぼうで取っ付きにくい十亀と親しくなったんでしょうね。
先入観や周囲の視線よりも自分の感覚で動ける二宮はいい奴だなぁ。
しかし、そんな二宮との交流も束の間、ある日十亀はすべてを失い、ひとり東京へと向かいます。
貧しくも、そこには確かに幸せがあったのだと気付くのは、それを失った後。
「リバースエンド」は作中に出てくる古い映画なのですが、要所要所で重要な役割を果たしていて、十亀がこの映画に何を感じているのかを想像すると切なくてたまらなくなります。
辛いエピソードですが、微笑ましい場面もあるし、最後は大人になった十亀が二宮に再会するシーンなので暗くはありません。
十亀の人生観はこの頃の経験がベースになっています。
大人なので普段は何も見せないけれど、十亀が抱えてきたものが分かる話でした。

『god bless you』
紆余曲折を経て、年下の大学生・城崎万と付き合い始めた十亀。
お互いに好き合っているものの、仕事が不規則で忙しい十亀は万との約束を守れない事も多く、ある日些細な事が原因で喧嘩をしてしまう。
タイミング悪く映画の撮影で長期間ロケで家を空ける事になった十亀は、音沙汰のない万との関係が終わることを覚悟するが…。

万が自分の事を好きだと知っているし、自分も万を好きで大切に思っているにも関わらず、十亀はこの喧嘩で万が離れてしまうことを予感し受け入れてしまっている。
「キャッスルマンゴー」で描かれていた付き合うまでの経緯でもそうですが、十亀は先回りして諦めているんですよね。
それは相手のためだと言いつつも、自分の心を守るため。
普段だったら、そんな弱腰な態度をヘタレだと呆れてしまったりするのだけれど、十亀については『リバーズエンド』で過去を知っているから、それも仕方ないかと感じてしまいます。
大切にしていても、なくすときは自分の望みなんて関係なくあっけない事を身をもって知っている。
本人はそんな湿っぽい感覚を意識して行動しているわけではないんですが。
自分でその心の傷の深さを自覚していないところが、余計に寂しい。
万の出番が少なくてふたりの恋愛話としては地味ですが、恋人の万を受け入れているつもりだけどどこかまだ壁を作っていた十亀が、このエピソードを通してゆっくりと自分を見つめ直していてよかったです。
十亀の気持ちの変化がじわりと胸にくる。

--
ということで、木原先生の新刊はムク先生によってコミカライズされた「キャッスルマンゴー」の続編でした。
続編と言うにはちょっと語弊があるかな。
「キャッスルマンゴー」へ繋がり、「キャッスルマンゴー」から繋がる作品。
「キャッスルマンゴー」が万を中心に描かれていたのに対して、「リバーズエンド」は十亀中心に書かれています。
シリーズとして捉えると、この小説は「キャッスルマンゴー」のプロローグとエピローグ的な感じですが、十亀を中心に考えると、『god bless you』はエピローグと言うより本編ですね。
十亀が、本当の意味で万との関係や自分の気持ちを自覚する話。
やっと自分のために泣くことが出来て、止まっていた感情が動き出した十亀にホッとして、そして泣かされました。
痛みを知っている十亀は優しい反面、他人から向けられる優しさを拒むようなところがあって、それが身近な人からすると心配になってしまうし、本気で関係を築こうとしている万からすると寂しいんでしょうね。
この作品だけでも話は分かりますが、「キャッスルマンゴー」を読んで十亀の万と付き合っている今の状況や、十亀が変わるきっかけとなった万の事を知った上で読んだ方が確実に面白いです。
私は「キャッスルマンゴー (2)」を先に読んで少し物足りなさを感じていたのですが、この「リバーズエンド」で補完され、大満足しました。
是非コミックスも併せてどうぞ!

■シリーズ
コミックス
「キャッスルマンゴー (1)」
「キャッスルマンゴー (2)」
ノベルス
「リバーズエンド」

キャッスルマンゴー 1 (MARBLE COMICS) キャッスルマンゴー(2)(完) (マーブルコミックス) (MARBLE COMICS)  リバーズエンド (Holly NOVELS)
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2012.10.18 00:23 | 木原音瀬 | trackback(0) | comment(0)
            












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