にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

4829625384お菓子の家: 〜un petit nid〜 (プラチナ文庫)
凪良 ゆう
フランス書院 2012-09-12

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「夜明けには優しいキスを」のスピンオフ。
警戒心いっぱいの野良猫が自分だけに懐いたら……かわいいに決まってる!
【お菓子の家 ~un petit nid~/凪良ゆう/葛西リカコ/プラチナ文庫(2012年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!
リストラされた加瀬は、強面なパン屋の店主・阿木に声を掛けられ、バイトをすることに。無愛想で人との付き合い方が分からない加瀬にとって、店の温かな雰囲気は馴染みがなく、戸惑うばかりだった。けれど火事に遭って阿木と同居することになり、彼の優しい手にどうしようもなく惹かれていく。優しくされればされるほど阿木に依存してしまい、溢れそうになる感情に加瀬は…。

【あらすじ・感想など】
リストラされ仕事を探していた加瀬弘明は、ある日、目が合ったパン屋の店主の男に声をかけられ、勢いにのまれたままバイトをすることになった。
パン職人の知世とその子供の理央、そして加瀬に声をかけたオーナーの阿木仁に囲まれ、アットホームな雰囲気に苦手意識を持ちながらもパン屋「un petit nid」でのバイト生活が始まる。
無愛想で目つきも悪く、コミュニケーションが苦手な加瀬は、今までずっと上手く社会と関わることが出来ずにいたが、3人は優しく、過去を探ってくる事もない。
次第にその生活に馴染んでいく加瀬は、それぞれに抱えた事情を知ることとなり…。
という、心に傷を抱えた男同士の話。
出版社も挿絵も違いますが、「夜明けには優しいキスを」のスピンオフです。
当て馬だった受の元彼で、DV男の加瀬がまさかの主役!
問題はたくさんある男だったけれど、根は悪い人ではなくて、ただ愛情に餓えていただけだという事は明らかだったので、悪い印象はありませんでした。
むしろ、こんな加瀬を誰か幸せにしてあげて欲しいと思ったくらいだったので、今回このスピンオフが出てくれてとても嬉しかったです。

加瀬は、近づく人間に対して全身で警戒をあらわにする、野良猫のような人。
そして、威嚇しまくっているけれど、一旦懐くと一途なところも猫っぽい。
心のガードがガッチリ閉まっているか全開かどちらか、という感じで極端です。
しかも全開になると相手に依存する傾向にあって、相手との関係や環境によってそれが悪い方向に暴走してしまう事があるんですよね。
悪い方向に出てしまったのが「夜明けには〜」の時の話なのですが、子供の頃の経験が元で愛情に餓えてるけれど、それを上手く相手に伝えることが出来ず、失う恐怖から暴力を振るってしまっていた。
自分の行動が間違っている事は分かっているのに、感情をコントロール出来ない。
もちろん加瀬がそうなってしまったのは理由があるのですが、実際身近にいたら困ってしまう人だとは思います。
そんな加瀬が、どんな相手と幸せになったのか。
私は「夜明けには〜」を読んだ時、そうした問題行動を叱ったり、加瀬の気持ちを悪い方にいかせないような明るくて前向きな相手だったら、加瀬と上手くいくのかなと思っていました。
が、全然違ってびっくり!
加瀬の相手は、訳ありな年上強面男・阿木でした。
そもそも、加瀬が受にまわると思っていなかったので、その発想はなかった!
でも確かに、苦しい過去を経験している年上の男だったら、少し面倒な性格の加瀬もかわいく思えるのかもしれない。
阿木が加瀬が気になる理由は別の所にもあるので、声をかけた展開は納得。
そして野良猫という見方をしたら、確かに加瀬はかわいいです。
怪我をしているのに毛を逆立てて威嚇している猫を強引に連れ帰ってしばらくしたら、徐々に心を許してきて、いつの間にか甘えて膝に乗ってゴロゴロしてくるようになったら……これはもうかわいいに決まってるじゃないですか!
自分だけにしか甘えてこないんですよ!
暴力を振るってしまった以前の恋人・要と上手くいかなかったのは、要が野良猫を受け入れるだけの余裕がなかったからなんじゃないのかな。
ちゃんと向き合わなかったら、野良猫は攻撃してくるばかり。
阿木は、知世たちとのパン屋での生活に不満があったわけじゃないけれど、贖罪のために生きているようなところがあり、心にポッカリ穴が空いている状態だったから、野良猫のような加瀬はある意味ピッタリな相手だったんだと思います。
案の定、阿木に心を許した加瀬は過剰な執着を見せていて読んでいて不安になりましたが、阿木はそれすらかわいいと思えるんですよね。
どんな猫だろうが懐いたらかわいいという感覚はとても理解出来るので、びっくりしつつも納得でした。
加瀬は実際に身近にいたらちょっと面倒な人だなと思うけど、面倒だからこそ懐いたらかわいいんだろうなぁ。
あ、リアル野良猫のクロの存在もよかったです!
表紙にもいるし、挿絵にもさり気なくいて癒される。
阿木に腕枕され、間に潜り込んできたクロと眠る加瀬が羨ましい〜。

加瀬の心の変化も読み応えがありました。
ダメな自分と向き合っている姿は、読んでいて胸が痛いです。
DV男なんてと思いきや、共感出来る部分がいっぱい。
ハローワークのエピソードにあったけれど、就活に限らずですが、社会生活を送る上で前向きな姿勢を求められる事が私も苦痛です。
就活の時、別に大人しい性格でもいいじゃないか!とよく思ったし、モチベーション上げる事が苦痛で仕方なかった。
そして落とされるとやっぱり自分はダメなんだ、必要とされていないんだ、と感じて落ち込んでいました。
そんな経験があるだけに、加瀬の気持ちが腐っていくのはよく分かる。
ただ、きっかけは様々あるでしょうが、社会との繋がりから一度外れてしまうと、社会生活に復帰するのは相当大変だと思います。
落ちるのは簡単だけど、一度落ちると世間の評価を回復させるのは難しい。
加瀬の姿は、他人事に思えないところがあり考えさせられました。

今回、元攻が受に転じていますが、全然違和感なかったです!
というか、加瀬の野良猫っぷりが可愛くて、もう受にしか思えない(笑)
濡れ場は少ないけれど、最後に収録されている阿木視点の短編が甘かったせいか、物足りなさはなかったです。

ということで、「夜明けには優しいキスを」のスピンオフ。
当て馬だったDV男が受でめでたく幸せになりました。
人に心を許さない警戒心いっぱいの野良猫に懐かれたら、これはもう手放せません。
面倒な男が、見方を変えたらこんなにかわいく思えるなんて!
加瀬の愛情は重いですが、阿木は力持ちなので余裕で受けとめてくれそうです。
いや、むしろ懐いた加瀬に激甘な阿木の方が重症かも(笑)
これからもっともっと阿木に甘やかされて、愛されて、加瀬が穏やかな表情の野良猫になっていくのが目に浮かぶようです。
兎にも角にも、ふたりとも重い背景を抱えながらも幸せになってくれてよかった!
前作読んでいた方が加瀬の人柄を理解出来ると思いますが、これ1冊でも十分読み応えのある作品です。
前作は重い雰囲気だったのに比べて、今回はシリアスな内容を含みつつもタイトル通り甘い読後感なので、こちらの方が構えずに読めると思います。
葛西先生の挿絵もピッタリでした。
面白かった。大満足です〜!

■関連作
「夜明けには優しいキスを」
4592850521夜明けには優しいキスを (白泉社花丸文庫BLACK)
凪良 ゆう
白泉社 2009-07-17

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2012.09.21 00:43 | 凪良ゆう | trackback(0) | comment(0)
            












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