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スノーファンタジア :うえだ真由

4403521185スノーファンタジア (新書館ディアプラス文庫)
うえだ 真由
新書館 2005-10

by G-Tools

ひたすら切なくてドキドキでした。
ベタな展開だけどすごく心掴まれる話で面白かったです!
【スノーファンタジア/うえだ真由/あさとえいり/Dear+文庫(2005年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!
里央は親友の陽史に密かに想いを寄せていた。だが陽史の恋人が半年間の留学に出発した日、見送りに行ったふたりは事故に遭い、陽史が記憶喪失になってしまう。彼女の存在も忘れた陽史は、親身に面倒を見てくれる里央を自分の恋人だったと思い込む。ずっと叶わぬ恋だと諦めていた。でも、ひとときでも陽史の恋人になってみたい―。その気持ちに抗えず、里央は陽史のキスを受けてしまい…。罪と愛の幻想曲。

【あらすじ・感想など】
大学の同級生で親友の陽史に想いを寄せている理央。
でも、陽史には彼女がいて、理央は想いを秘めたまま日々を送っていた。
そんな中、ふたりで車で出掛けた際事故に遭ってしまい、理央は軽傷だったが、陽史は記憶喪失になってしまう。
大学に入ってからの記憶がない陽史の生活をサポートしていた理央だが、彼女の存在を打ち明けられずにいた。
恋人の痕跡を見つけ、理央が恋人なのかと問う陽史の言葉を、理央は否定する事が出来なくて…。
という、記憶喪失の相手と恋人同士になる話です。
元々恋人がいないならともかく、陽史には彼女がいるのでその辺りのつじつま合わせが難しそうなのですが、いろいろな状況が重なってそれを可能にしています。
ひとつは、陽史の彼女には家の事情があるために、その付き合いを知っているのが理央だけだったこと。
そして、その彼女が海外へ短期留学へ旅立った日に事故が起こっていて、陽史の携帯が事故で壊れていたために連絡が取れなくなっていること。
隠れて付き合っていたので、一緒に写っている写真や手紙の類は一切ありません。
それなのに、ひとり暮らしのアパートの部屋には使いかけの避妊具があったり、プレゼントらしきアクセサリーがあったりで、恋人の痕跡はある。
親友とは言え、甲斐甲斐しく世話をしてくれる理央の様子から、もしかしたら男同士で付き合っていたのかも?と陽史が発想するのは不自然ではないです。
状況だけじゃなく、理央に対して心が動かされるところがあったからその発想に至ったのだろうと思えば、その後の陽史の行動は理解出来ます。
そして、騙す形になってしまった理央の気持ちも分かるから辛い。
複雑な事情のある彼女の事を隠しているのも、恋人かと聞かれて否定出来なかった事も、ずっと想いを秘めてきた理央なら仕方がないと思えます。
でも、その状況はかなり綱渡りであることは間違いない。
いつ記憶が戻るか分からないし、状況的に矛盾が生じるかもしれないし、恋人になれたと言っても、決して手放しに喜べる状況ではありません。
むしろ、陽史が恋人として接してくれればくれるほど、罪悪感と焦燥感で理央は追い詰められていってしまう。
読んでいて、ひたすら切ない…。
ただ、理央にはもちろん痛いくらい共感出来るけれど、何も知らされないままの陽史の彼女も可哀想。
この状況をどう乗り越えて結末を迎えるのか、先が気になってドキドキハラハラしてしまいました。
バッドエンドではないだろうと分かっていても、誰かが傷つかないと終わらないですからね…。
最終的には、ハッピーエンドです。
でも、もちろんそれは理央の視点から見てのハッピーエンドであって、すべての人にとっての幸せではない。
だから、ホッとした反面心に引っかかる所がありました。
そんな気持ちを昇華してくれたのが、後半に収録されている後日談『グリーンセレナード』。
私が引っかかったように、理央自身もすぐにスッキリと状況を受け入れられたわけではありません。
恋が実って幸せだけれど、その経緯もあって陽史との関係に負い目を感じています。
好きなんだけど自分の気持ちを押しつけるような事はしない理央の態度が、恋人として関係を築いていきたいと考えている陽史を苛立たせ、ふたりの間に距離が出来る話。
途中までは、ただ単にちょっとしたトラブルから気持ちのすれ違いが表に出て来て、陽史が理央に改めて気持ちを伝えて一件落着する、割とよくあるシンプルな話だと思っていました。
もっと深いところに踏み込んで欲しいのに!と、もどかしく思いながら読んでいたのですが…。
最後のやりとりがすごく良かった。
陽史の、理央を選んだ理由に私までハッとさせられました。
理央を選んだのは、彼女の方にあった問題故ではなく、ちゃんと理央と付き合った事で得た部分が理由になっていた。
ただ単に好きだと確認し合うだけの痴話喧嘩じゃなく、すごく意味のあるものになっていて、なるほどなと唸るラストでした。
男同士で相手がノンケの場合、好きな気持ちを向けている側ももちろん苦しいけれど、その気持ちを受けとめる側の方がいろいろと考えて覚悟決めているんですよね。
私が彼女の立場だったら、理央の事をずるいと思ってしまうだろうけれど、その一方で仕方ないと思う気持ちもあったと思う。
彼女の事を含めて、納得のいくラストでよかったです。

そして、センシティブ感満載の展開なので濡れ場は控えめかと思いきや…。
しっかりと萌えがあって大満足!!
健気な理央も可愛いですが、意外と欲望に忠実な陽史にテンション上がりました。
偽りの記憶であっても、元々ゲイではない陽史が恋人としての理央相手に自ら欲情しているという事実があれば、それはもう記憶が戻っても理央への恋愛感情は否定出来ないのでは…。
ジワジワ萌えて美味しかったです。

ということで、うえだ先生初読みでした。
友人に勧められてまずこの作品を手に取ったのですが、期待以上に心を掴まれる話で面白かったです!
展開的にはベタかもしれませんが、ふたりの気持ちの動きの背景にあるものがちゃんと伝わって来て、ひたすら切なかった。
ただ、彼女の存在があってスッキリとハッピーエンドを迎えられる話ではないので、この展開に納得出来ない方もいるかもしれません。
私自身、前半の話ではホッとしながらも心に少し引っかかりを覚えていたのですが、後半の話にある陽史の言葉で一気に好感度が上がりました。
それにしても、「ベタな展開」と書いておきながらなんですが、ベタの定義って何なんでしょうね…。
この作品で言うと、記憶喪失ネタなところ?
普段読む作家さんのラインナップにもよるかもしれませんが、私の印象では、シリアス系のベタな展開は意外と出会う機会は多くないので新鮮でした。
設定がベタだと作家さんの力量次第な所が大きいのかもですね。
うえだ先生好感触!
他にも何冊か手元にあるので、読み進めていこうと思います♪
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2012.05.10 01:14 | うえだ真由 | trackback(0) | comment(0)
            












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