にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

二月病 :尾上与一

4883864073二月病 (Holly NOVELS)
尾上 与一
蒼竜社 2012-02-18

by G-Tools

BLというより、非BLのサスペンス作品を読んだ時の読後感に近かったです。
話にグイグイ惹き込まれました!
【二月病/尾上与一/黒沢要/Hollyノベルズ(2012年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!
高校の同級生で親友の蒼司に突然告白された千夏は、恋よりもずっと一緒にいられる友人であることを選び、やんわりと蒼司を拒絶する。その翌日、蒼司は学校を欠席した。心配した千夏は自宅や携帯電話に連絡を入れるが、なぜか知らない男が蒼司の電話に出る。男の言葉は異国のもので聞きとれない。不安に駆られた千夏は蒼司の家を訪ねるが、そこに彼の姿はなく―。彼らの運命を変えたラブサスペンス・ストーリー。

【あらすじ・感想など】
親友の蒼司から突然告白された千夏。
蒼司に恋愛感情は抱いていないけれど、大切な存在で、これからもずっと一緒にいたいと思っている千夏は、真摯な想いを受けとめながらも友達でいたいと告げた。
しかし、翌日蒼司が姿を消してしまう。
蒼司の携帯から聞こえた見知らぬ男の声に不安に駆られ、蒼司の家を訪ねた千夏が見たのは受け入れがたい非日常の光景だった。
蒼司を助けるため、千夏はある行動に出るのだが…。
という、突然事件に巻き込まれてしまった高校生の話です。
BLで警察が介入してくるような大きな事件が起こる事は時々ありますが、それが刑事ものとか主人公たちが直接的に関わって起きた事件としてではなく、普通の高校生が巻き込まれてしまった血生臭い事件というのは珍しい気がします。
もちろん事件は恋愛部分と絡んでいますが、雨降って地固まるようなものではなく、生死をかけたギリギリの戦いから恋愛に繋がっていく展開です。
サスペンス要素の比率が高いので、エッチシーンがなければ一般向けでも十分通じそうな雰囲気ですね。
でもこれは、恋愛感情が複雑なところが味になっているので、男女だったら説得力が足りなくなってしまうかなと思います。

オチは書きませんが、感想がどうしても事件の内容に触れてしまうので、ネタバレが気になる方は回避してください。

蒼司は家にいたところを押し入ってきた犯人に連れ去られ、監禁されてしまいます。
携帯で蒼司の異変を察した千夏は、蒼司の家を訪ね、そこでただならぬ事態が起こっていることを知り、犯人側と接触。
蒼司を助けるため、警察にも周囲の人間にも事件を知られないよう、自分だけで犯人から蒼司と引き換えに要求された交換条件を成し遂げるため動き出します。
でも、それは高校生の千夏ひとりには困難で、それ以上に、既に人が殺されているのを目の当たりにしている千夏にとって、蒼司が捕らえられている状況を誰にも言えないまま抱え込むのは精神的にかなりきつい。
そんな追い詰められた状態の千夏の前に、元新聞記者の若田という男が現れます。
千夏から事情を聞いた若田は警察に行けと説得しますが、千夏の想いを知り、結果的には支えてくれる存在になっていく。
この若田の記録という形で書かれた客観的な視点と、蒼司と千夏の視点、両方によって話が進んでいきます。
蒼司の命がかかっているという部分でももちろん千夏には辛い状況ですが、それに加え、事件の直前にされた告白が千夏の心を掻き回しています。
それまで恋愛対象として全く意識していなかったけれど、蒼司の存在は自分にとっていったい何なのか?
隣に居ることが、今までも、これからも当たり前だった蒼司。
その蒼司が、笑顔の裏で抱えてきた必死な想い。
千夏はこれまで過ごしてきた蒼司との日々に思い出に思いを巡らせ、自分の心を見つめていきます。
生きるか死ぬかというギリギリの状態に置かれていることで、今まで千夏の心にかかって見えにくくしていた靄が消え、千夏はそこにある大切なものを見つけた。
現実には、事件がどう動いているのか千夏には分からないし、交換条件を達成したとしても蒼司が自由になれるかどうかの保証もない。
それでも、ふたりは必死に互いの気持ちを伝え合い、感じようとしています。
シリアスな事件の中で、高校生ふたりの純粋な恋心がとても繊細に輝いていて、愛おしくて切ない。
千夏も蒼司も、インパクトの強い事件に負けないくらいの存在感がありました。
事件がどうなっているのか読んでいる私にも分からず、蒼司が解放されてハッピーエンドになるには一体どうしたらいいのだろうかと、ずっと考えていました。
状況は悪くなるばかりだし、どうまとめるのか……。
全体的にあまりBLのニオイではないので、もしかしたらもしかするのかも?とドッキドキ。
超展開が起こってうまく事件をまとめ、犯人逮捕&自由になった蒼司と千夏に日常が戻るBL的なENDになるのか?
何かしらの障害がふたりの間に残る展開(例えば少年院とか)を経たり、日常が戻らないようなJUNE ENDもあり得る。
結末について詳しくは書きませんが、ふたりの恋が成就するという意味では間違いなくハッピーエンドなのでその点はご安心下さい。
香川県が舞台となっていて、お遍路が話に上手く絡んでいました。
私にとって身近な風習では全くないけれど、四国に住んでいたらこのふたりのような感覚で捉えていただろうなと思います。
ところで、あとがきで読んで初めて知ったのですが、この作品の象徴的な鉄塔の事件は実際にあった事件なのですね。
私は全く記憶に残っていなかったので気付きませんでしたが、倒壊の状況などかなり現実の事件と沿った内容になっていました。
もちろん事件を肯定しているわけではないです。
でも、誰も知らない真実の裏にこんな背景があったのかも…と想像するとドラマチックで、本を読む楽しさを感じることが出来ました。

ということで、いつものBLとは少し毛色の違った作品でした。
流石Hollyノベルス。
BLというより、非BLのサスペンス作品を読んだ時の読後感に近かったです。
萌えに頼ることなく、話の内容でしっかり心を捕らえてくる。
尾上先生はこれがデビュー作のようですが、文章がしっかりしているので読んでいて不安を感じないし、何よりこの少し重い雰囲気が好みでした。
重い内容の中でキャラの魅力が光っています。
黒沢先生の挿絵がピッタリですね!
新人作家さんはあまり手に取らないのですが、思わず表紙買いしてしまいました。
落ち着いた雰囲気に惚れたので、今月出た新刊も手に取ってみようと思います。
関連記事
2012.03.28 01:58 | 尾上与一 | trackback(0) | comment(0)
            












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://macnyanko.blog22.fc2.com/tb.php/1080-1fede66e

最近の記事

プロフィール

Author:にゃんこ
漫画も読むけれど、やっぱり小説が好き! 小説を中心にBL本の感想を書いています。

このBlogについて:Read me

日記&一言感想
→ にゃんこ雑記
お知らせ用twitter
お知らせ
中の人はこちら
つぶやき

Twetter

RECOMMEND

参加させていただいています!

【このBLがやばい!2019年度版】
(漫画中心に小説、CD含めBL全般)

【はじめての人のためのBLガイド】
(ほぼ漫画のみ)
はじめての人のためのBLガイド

作家さん別感想記事リスト

Comment

Trackback

サイトリンク

BL Novels TB

BL Comics TB

BL×B.L.People


お役立ち


with Ajax Amazon

メールフォーム

基本的にレスは雑記の方でしています。数日経っても応答がない場合は送信エラーの可能性があります。「取扱説明書」を参照してください。

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSフィード

| ホーム |