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off you go :一穂ミチ

4344824849off you go (幻冬舎ルチル文庫)
一穂 ミチ
幻冬舎 2012-03-15

by G-Tools

「is in you」のスピンオフ。
気になっていた佐伯は予想以上に面倒で可愛い人でした。
【off you go/一穂ミチ/青石ももこ/ルチル文庫(2012年)】

オススメ:

↓ネタバレあり、caution!
その朝、就寝したばかりの良時を突然、妹の夫・密が訪れた。海外赴任から帰国すれば自宅はなく、妻・十和子に離婚を言い渡されたという。折しも独り身の良時は密のペースに呑まれ、快適な同居生活へ。幼い頃から共に身体が弱く療養の日々を同志のように過ごしてきた密と十和子、ふたりの絆を誰より知る良時。ふしぎな均衡で繁がり合う彼らは…。

【あらすじ・感想など】
幼なじみで、同じ新聞社で働く静良時と佐伯密。
海外赴任から本社勤務となった密は久しぶりに日本に戻ってきたが、妻で良時の妹である十和子は離婚届を残して実家に帰ってしまっていた。
数ヶ月前に離婚してひとりで暮らしている良時のマンションに押しかけてきて、そのまま居座る密に文句を言いつつも、良時は密との久しぶりの時間を心地よく感じるようになっていく。
しかし、次第にふたりの均衡は不安定になっていき…。
という、幼なじみから恋愛に発展する話です。
ふたりは同い年で、40代前半(42歳だったかな?)。
子供はいないけれど結婚していて、名の通った会社でそれなりの役職についている、一般的に見たら順風満帆な人生。
でも、ふたりとも実際は心がどこか欠けている事を程度の差はあれ自覚していて、それが離婚という形で表に出て来たとき、見て見ぬ振りの出来ないところに立たされることになってしまった。
飄々とした密の言動に振り回される日々の中、過去を振り返りながら、自分の心と向き合う良時の変化を追っています。
小学生の頃の出会いの場面、高校時代、大学時代、社会人となった後、様々なエピソードが現在の話の合間で展開しているので混乱しそうになりますが、どの場面も大切で、読み進めていくと読み手にもふたりが積み重ねてきた時間が伝わってくる。
良時と密の関係は、幼なじみとひと言で片付けるには複雑すぎる繋がりがあります。
その繋がりは、十和子の存在なくしては語れません。
子供の頃身体の弱かった密と十和子が病院で同室になった事で始まった3人の関係。
密は大学卒業間際に十和子との結婚を決めていますが、このふたりの関係は恋愛と言うより、もっと精神的な部分で支え合っている、同志でありライバルであり、言葉で説明しきれない深い信頼と愛情で繋がっています。
十和子は自分に向けられている密の視線の先にあるものを知っている。
密も、そんな十和子を分かっていて、大切にしている。
それに対して、良時は自分がその時々に抱いていた感情がどこに起因していたのか気付かないまま、ここまで来ています。
それは悪いことではなくて、そうでなければ3人の関係は不安定なまま壊れていたのだろうと思うし、そんな良時を密も十和子も愛している。
それぞれに辛い思いはたくさんあっただろうけれど、結果的に、こうして積み重ねてきた時間があったからこそ、落ち着ける形に収まったのだろうと思います。
様々な愛の形がある。
でも、欲しい形と、手の届く形は違っていて、それは自分ではどうにも出来ないところで決まっていたりする。
十和子の存在がとても切ないです。
でもすごく芯がしっかりしていて、身体の弱さに挫けない強さがあるから愛されるんだろうなと思う。
良時と密、そしてそこに十和子がいたからこそここまで来れたのは間違いない。
絶妙なバランスで成り立つ人間関係がしっかり書かれていて、とても読み応えがありました。

この作品は「is in you」のスピンオフです。
「is in you」は密が赴任していた香港から帰る間際の話で、密の後輩社員である圭輔と現地スタッフである一束の話です。
密は一束と関係を持っている、所謂当て馬として登場していて、その時からすごく気になる存在でした。
一束と密の関係は、互いに好意を持っているけれど、恋愛感情というより寂しさや孤独と戦う同志に近い。
一束が圭輔と手を取り合った事で、密は失恋に近い喪失感を抱えている。
今回の作品は、そんな密が日本に戻って来たところから始まっています。
ちなみに、「is in you」の感想には


佐伯は冷めた態度を取っているけれど、中身は結構熱い人だと思うんですよね。
それを他人に見せないだけで。
圭輔に対して常に余裕な態度をとり続けていますが、どうにもならない部分で圭輔にコンプレックスを持っています。
常に明るい場所にいる圭輔に。
もちろん、圭輔だって悩んだり苦しんだり、失敗したりする。
それを分かっていても、自分が大切にしている一束の気持ちが圭輔に向かうことに嫉妬してしまう佐伯の様子が人間くさくて、キャラが一気に身近に感じられるようになりました。
佐伯は寂しい人だけど、近づいてみて気付くそんな熱が人を惹きつけるのだろうなぁと思います。


と書いたのですが、それを頭に置いて今回の良時との話を読むと、密の飄々とした態度や突き放すような言葉のひとつひとつに隠された本心が可愛くて仕方ない!
表には出さない臆病なところや健気さに、益々心を掴まれました。
そして、途中何度か出てくる「良時良時」という密が良時を呼ぶ時の言い方が何だか可愛いなぁと思っていたら、終盤そのことに触れているエピソードがあって、萌え転げました…!!
密は無意識なんでしょうけど、良時に対する心の許し方が他と全然違う。
密、可愛すぎる……!
ちなみに、一束とのエッチでは攻でしたが、良時相手には受です。
普段の性格を考えると、絶対に受なさそう。
でも、良時に対しては他と全然心の持ちようが違うんですよね。
上で述べたように、こんな可愛い顔を垣間見せる相手は良時だけなんです。
すごくしっくりきました。
元々攻だったキャラが受けてますが、攻同士っぽい関係ではありません。
「受けてやるよ」的な態度を取ってるけれど、それは口だけで、気持ち的には良時を攻めようと思ってないだろうし、むしろ受けたそうに見える。
中身は健気で一途だけど、態度は素直じゃなくて口も悪い、そんな密が愛しい。
良時が鏡で見ている場面が大好きです。

ということで、ずっと気になっていた「is in you」の当て馬・密の話でした。
予想通り、いやそれ以上に可愛い男で大満足です!!
飄々としているのに健気なキャラが個人的にドストライクな萌えツボという事もありますが、前作の流れがあっての今作なので、余計に密の一挙手一投足に心が動かされました。
良時も、そして十和子もよかった。
3人の関係がしっかり書かれているので、その間で動く感情が痛いほど伝わってきて、どんどん話に惹き込まれました。
十和子が語るシーンは何度読んでも涙が止まらない。
様々な事を経てきているからこその重みでした。
それにしても、過去のエピソードも多いのですっかり忘れそうになりますが、40過ぎたおじさん同志の話なんですよね…。
青石先生の挿絵の効果もあって加齢臭は全く感じませんが。
おっさん萌え属性はありませんが、このおっさんカップルは萌える!
特に、密のようなタイプは年齢問わず大好物なので、美味しくいただきました。
「is in you」を読まなくても理解出来ますが、密の可愛さをより味わうためには、前作を先に読む事をオススメします!
面白かった。
大好きです。

■シリーズ
「is in you」 圭輔×一束
「off you go」 良時×密
「ステノグラフィカ」 西口×碧
「アンフォーゲタブル」 冬梧×望

is in you (幻冬舎ルチル文庫) off you go (幻冬舎ルチル文庫) ステノグラフィカ (幻冬舎ルチル文庫) アンフォーゲタブル (幻冬舎ルチル文庫)
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2012.03.22 01:35 | 一穂ミチ | trackback(0) | comment(0)
            












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