にゃんこのBL徒然日記

BL:ボーイズラブ本の感想ブログ

4044332010レザナンス・コネクション―共・鳴・関・係 (角川文庫―スニーカー文庫)
野村 史子
角川書店 1990-11

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【JUNE再読】
言わずと知れた名作。
JUNEを語るなら、野村先生ははずせません。
この作品と「テイク・ラブ」の2作しかありませんが、どちらもすごく好きです。
うーむ、初期のルビーは名作揃いだわ~。
【レザナンス・コネクション/野村史子/麻々原絵里衣/ルビー文庫(1990年)】

オススメ:  泣ける

↓ネタバレあり、caution!!
初夏、高校2年の出来事―。油絵具のにおいがこもる美術室で西村陽子は、中沢了と中沢真紀を見た。光と影、陽と陰―対照的な二人は、いとこのような間柄だと聞いていた。しかし、陽子の目の前でおこった光景は、まるで恋人同士のような甘く官能的なものだった―その瞬間から、陽子は真紀に恋していた…。終りのある愛。それゆえに、静かに切なく燃えてゆく。男たちの切ない心を描いた恋の美学。


野村先生の作品は2作とも短編集で、「レザナンス・コネクション」には2話収録されてます。
『レザナンス・コネクション』
実業家の息子で類い希な美術の才能を持つ、中沢了。
養護施設で育ち中沢家の養子となった、真紀。
生まれてすぐ親に焼却炉に捨てらた真紀は養護施設で育ったが、自分の身体を傷つけ心を閉ざしていた。
そんな真紀に心を奪われた了は、真紀を中沢家の養子にし、必死の努力によって精神を覚醒させた。
しかし、真紀は了によってのみ、真紀の精神は危うい均衡を保っている。
真紀の身体は、了によって責め、苛まれ、傷つけられる事を求めていた。
真紀は了のすべてを受け入れ、“共鳴”する。
ある日、了は真紀をモデルにした絵を発表するが…。

精神的に強く結びつき、求め合っていた二人が、それを“愛”だと気づき、受け入れていく。
真紀はひたすら了を求めています。
初めは征服欲にかられていた了ですが、真紀を愛していることに気付くと動揺します。
真紀の血を求め、その血に涙する。
真紀の苦痛に欲情し、それを恥じる。
真紀を愛する限り、この相反する感情に振り回される。
そしてその感情に“共鳴”し、返してくる真紀。
それを恐れ、許せない了は、自分の想いを絵に封じ込め、真紀と決別する道を選びます。
真紀はそれすら受け入れようとしますが、失う事で了の存在の大きさ、自分が了を愛している事を理解します。

テーマとしては簡潔ですが、設定的には重いです。
主人公は了と真紀ですが、話は二人の友人・陽子の視点が中心に進んでいくからか、二人の葛藤にドップリつかるような流れではありません。
ですが、適度にポイントを押さえているので、惹き込まれます。
陽子のキャラも共感できて、申し分なし。
「あんたって、なんて勝手な男なの。焼却炉からひきずり出して、あんたしか見ないようにさせて、今度はそれが気に入らないからって、もいちど、そん中へ叩き込もうっていうの?」
そうだ、ひどい男だ了!
っていう読者の気持ちを代弁してくれて、気持ちいい(笑)
小細工しているわけではなく、さりげなくうまい。

このお話、他の作家さん、例えば水原先生辺りに書かせたら、全然違う作品になりそうです。
もっと痛いかな(笑)
そのバージョンもいいかもね。

『グッバイ・ミスティ・ラブ』
ロンドンへ買い付けにきた真二。
真二は幼い頃育ててくれ、そしてある日突然消えた叔父・透を忘れる事が出来ない。
ロンドンでひっかけた“恋人”チェックは、透の目によく似ていた…。
初めは軽い気持ちで寝た真二だが、次第に深くつきあっていくようになっていく。
しかしある日、ロンドンの街角でバイオリンを弾く透に出会ってしまい…。

こちらの短編の方が、すごく重く、泣けます。
こんなに泣いた作品は久しぶり。
どうにもならない想いが切ない。
BLでは触れる事が少ないですが、ゲイバッシングがこのお話の背景にあります。
イギリスは宗教的に同性愛に対する反発が強い国です。
同性愛が犯罪であった事があるくらい。
イギリスのゲイ→映画「モーリス」や「司祭」あたりがすぐ浮かんできますが、どれも明るいゲイではなく、苦悩がつきものです。
ということで、チェックも生まれ故郷のスコットランドでつらい青春時代を送っていて、逃げるようにしてロンドンに来ています。
ゲイ・コミュニストであるチェックは、保守的な人からの反発、暴力に耐えながらも必死で生きています。

そんなチェックに惹かれてゆき、チェックが自分を愛するように、チェックを愛したいと思っていた、そんな矢先の透との再会。
行き着く先に破滅があると分かっていても、透を求めてしまい、ついには無理矢理身体の関係をもってしまう。
そして再び透は消えてしまいます。
チェックとの関係も、透に再会した事で、気持ちはすれ違うばかり。
真二はチェックに別れを告げ、日本に帰ってしまいます。

2年後。
透の行方を掴んだ真二は、再びイギリスへ向かいます。
しかし、透は幼い真二の記憶しか残っていなかった…。

メインは真二の話だと思いますが、私はチェックに目がいってしまいました。
真二と別れた後、同じゲイの活動家リューと結婚するのですが、そのリューに宛てた手紙が、泣けます。
「シンを好きだった俺が今、こうしてあんたを好きになった。いや、シンを好きだった俺だから、今あんたを好きになれたんだ。そう思うと、俺は自分が本当に好きになったよ。そしてシンが。そして一等あんたが。」
しかし、数年後、リューは右翼によって殺されてしまいます。
“チェック。いつか、おまえは新しい愛を見つけ、リューと共に見るはずだった夢を、そいつと共に見るのだろう。おまえが死ねば、おまえの夢は、おまえの愛したやつが引き継ぐのだろう。
おまえの愛は、決して、誰からも奪われる事はない。そういう愛を、リューは、おまえに教えたのだから。“

…泣ける。
抜粋しすぎて、上手く伝わってないかも知れませんが…。

ゲイの活動をする事で、自分に真剣に向き合い、そしてリューに出会った事で“愛”を手に入れたチェック。
“愛”を恐れ、失ってしまった真二。
対称的な二人のお話でした。
イギリスのゲイムービーにしても充分通じそう。


こうして昔の作品を再読していると、今のBLと比べて絡みが少なかったんだなぁ(もちろん、濃い先生もいます。山藍先生や吉原先生とかね…)

野村先生の作品は短編ですが、どれも心を奪われます。
読んだ後に、思わず余韻に浸ってフリーズしてしまう…。
泣かずにはいられない話もたくさん。
もっと作品を残して欲しかった!
2006.05.23 11:21 | 野村史子 | trackback(0) | comment(6)
            

こんにちは。
待ってました!野村さん。
短編なのに、濃くて、重くて、いつまでも心から離れないんですよね…。
テーマはどれも「死」と隣り合わせですし、読んだ後は暫く何も手に付かなくなります。
本当にもっと作品を読みたかったですよね。
三田さんのレビューも読みました。
懐かしかったです。また読み返したくなりました♪

2006.05.23 10:27 URL | 空 #m.2.LkcQ [ 編集 ]

空さん、こんにちはー。

やっぱり野村先生ははずせませんよね!
JUNEはBLというより、もう文学に近い?
長年腐女子やっている人なら、栗本、野村、三田、吉原先生辺りはきっと通った道だと思うので(笑)、旧作レビュー楽しんで頂けるとうれしいです。
いや、読んでいる自分の方が楽しんでますが(^_^)

まだまだ昔のルビーが山積みです。
次は…森内先生あたり気になってます~。
それでは、コメントありがとうございました!

2006.05.23 11:15 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]

 ちょっと、遅ればせながらですが。懐かしいですね。初めて買ったのがスニーカ文庫からの「レザナンスコネクション」か「M-この世で一番長い夜」でした。残念ながらどちらかまではもう覚えていません。でも、JUNEとかやおいと言った単語を知ってすぐ、しかも同人を読んだ後に読んだものだったので、ギャップに驚いた記憶があります。
 野沢さんの作品って、直視したくないものをさせられるんですね。暗くて、重くて読むとドツボにはまって、しばらくは立ち直れない。
 でも、最近考えるのですね、こういう作品にはもうお目にかかれないんだろうなって・・・。
 

2006.06.05 21:34 URL | ふーこ #- [ 編集 ]

ふーこさん、こんにちは!

ルビー文庫になる前に購入されたのですか!それはかなり初期ですね~。あの頃は、本当にこのジャンルはマイナーで、購入するのに勇気がいったモノです。表紙の肌の露出はひかえめでしたけどね(笑)
>ドツボにはまって、しばらくは立ち直れない
まったくです。野村先生は、短編なのにピンポイントで痛いところをついてきますよね。でも、その痛さに病みつきなんですけど。泣きたいときにはピッタリです。

最近はもう、こんな作品に出会う事は全然無いですね。寂しい事です。今ではたくさんのレーベルがあるのですから、こんな感じの堅い雰囲気のレーベルを作ってくれてもいいと思うのですが。マイナーすぎますかねー?

ではでは、コメントありがとうございました!
これからもよろしくお願いします☆

2006.06.06 10:39 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]

レザナンス・コネクション、グッバイ・ミスティラブどちらも絶版になっているのが惜しい名作だと思いました。
とくに、グッバイ・ミスティラブで登場するゲイバッシングと戦うチェックの自分と一つしか違わないのに、置かれている状況の辛さから逃げだそうとしないその強さはすごいと感じました 逆にシンやシンの育ての親であるトオルは弱い人達だなぁと思います。 シンは自分の気持を制御できず、大事な人の心を壊しちゃったし、トオルは結局はタチの悪い放浪癖?のせいでシンを置き去りにして傷つけている、どっちもどっちで傷つけあってるだけじゃないか、でもだからどっちが悪いとは言い切れいよね……となんともいえない気分になりました。
初めて読んだ時は、ひたすらチェックがかわいそう……こんなに頑張ってきたのに、報われないじゃんと鉛を飲まされたみたいに重い気分になりましたが、次に読んだときは本当にかわいそうなのは、トオルとシンだって思いました。 トオルは今のシンではなく幼い頃のシンを愛していて、シンは自分が壊したトオルを世話をする。二人の愛はとまったままなんだとやるせない気分になりました。

2009.11.09 16:29 URL | 沙来 #- [ 編集 ]

沙来さん、こんにちは!

誰が悪いというわけではなく、小さな気持ちのすれ違いや社会的情勢によって崩れていく関係。
もちろん、そこには心の弱さがあったのですが、誰にだってそんな脆さを抱えて生きてるんじゃないかなと思います。
でも、そんな弱さと向き合って、必死に幸せになろうとしていたチェックだからこそ辿りつけた場所があるんですよね。
その生き方に、私も心をつかまれました。
>二人の愛はとまったままなんだとやるせない気分になりました。
私もです。
チェックの存在があることで、益々それを感じました。

コメントありがとうございます!
最近昔と今の作品の違いを考えていたので、沙来さんのコメントとてもタイムリーでした。
改めて、いわゆるJUNEとBLが、同じ男性同士の恋愛を書いていても、全然違うスタンスなのだなぁと感じさせられました。
もちろん今のBLも好きですが、この作品のような重くて切ない話も大好きです。
あー昔の作品を読み返したくなってきた!

是非またお越しくださいませ~。ではでは。

2009.11.10 12:15 URL | にゃんこ #fwkSvwQ6 [ 編集 ]













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